21年度マンション管理士試験 本社解答と解説【問1~10】

【問 1】 正 解 ②

アは正しい。 区分所有者は、全員で当然に区分所有者の団体を構成する。A、B、Cは1棟の建物を区分所有しているので、全員によって区分所有者の団体が組織される。

イは誤り。 Bは乙地を、Cは丙地を賃借しているので、それぞれ単独で賃借権を有する。賃借権を準共有しているのではない。

ウは正しい。 賃借権の譲渡には、原則として賃貸人の承諾が必要である。BはAから乙地を賃借しているので、その賃借権の譲渡にはAの承諾が必要である。

エは誤り。 賃借権には、抵当権を設定することができない。したがって、Cは、その敷地利用権、すなわち丙地の賃借権に抵当権を設定することができない。 正しいものはアとウの2つで、②が正解である。

 

【問 2】 正 解 ②

アは誤り。 民法では、5年を超えない期間内は共有物の分割をしない旨の契約をすることができる。この契約は更新することができるが、その期間は更新の時から5年を超えることができない。

イは正しい。 専有部分以外の建物の部分は、共用部分にあたる。共用部分の共有に関しては、共有物分割請求は認められていない。

ウは誤り。 専有部分の共有に関しては、民法の適用を排除する旨の規定はない。したがって、共有物分割請求権の行使が認められる。

エは正しい。 規約により共用部分とされた部分も、共用部分であるから、共有物分割請求は認められない。 正しいものはイとエの2つで、②が正解である。

 

【問 3】 正 解 ①

①は誤りで、正解。 管理組合法人は、規約又は集会の決議により、その事務に関し、区分所有者のために、原告又は被告となることができる。「理事」ではない。

②は正しい。 管理組合法人は、区分所有者名簿を備え置き、区分所有者の変更があるごとに必要な変更を加えなければならない。

③は正しい。 管理組合法人は、建物の全部の滅失又は建物に専有部分がなくなったことのほか、区分所有者及び議決権の各4分の3以上の多数の集会の決議によって解散する。

④は正しい。 管理組合法人は、代表理事がその職務を行うについて第三者に与えた損害を賠償する責任を負う。

 

【問 4】 正 解 ②

①は正しい。 規約において、管理者を共用部分の所有者と定めることができる。これは「共用部分」に関する規定なので、規約共用部分も管理所有の対象とすることができる。

②は誤りで、正解。 共用部分については、規約で管理者が所有すると定めることにより、管理者が管理に必要な行為を行う権限を有するが、建物の敷地及び付属施設については、管理者が所有することを認める規定がない。

③は正しい。 共用部分につき損害保険契約をすることは、共用部分の管理に関する事項とみなされる。したがって、管理所有を行う管理者は、共用部分につき損害保険契約を締結することができる。

④は正しい。 保存行為は、各共有者がすることができる。したがって、管理所有が規約で定められていても、各区分所有者は保存行為をすることができる。

 

【問 5】 正 解 ②

①は正しい。 敷地利用権が数人で有する所有権その他の権利である場合には、区分所有者は、その有する専有部分とその専有部分に係る敷地利用権とを分離して処分することができない。ただし、規約に別段の定めがあるときは、この限りでない。

②は誤りで、正解。 敷地利用権の一部について分離処分を認めることは禁止しているので、一筆の土地の一部について分離処分することも禁止していると解される。22条1項ただし書きにより、規約に別段の定めができる。

③は正しい。 分離処分禁止に違反する処分は、分離処分禁止の登記がされていない場合、その無効を善意の相手方に主張することができない。

④は正しい。 最初に建物の専有部分の全部を所有する者は、公正証書により、専有部分と敷地利用権の分離処分を認める旨の規約を設定することができる。

 

【問 6】 正 解 ②

①は誤り。 共用部分だけでなく、専有部分についても、その管理や使用が区分所有者全体に影響を及ぼすような事項であれば、規約で定めることができる。

②は正しく、正解。 規約は、書面又は電磁的記録により、これを作成しなければならない。

③は誤り。 最初に建物の専有部分の全部を所有する者は、公正証書により、一定の事項についての規約を設定することができる。その規約は、⑴規約共用部分を定める規約、⑵規約敷地を定める規約、⑶専有部分と敷地利用権を分離して処分することができる旨の規約、⑷各専有部分に係る敷地利用権の割合を定める規約に限られる。

④は誤り。 規約は、管理者が保管しなければならない。ただし、管理者がないときは、建物を使用している区分所有者又はその代理人で規約又は集会の決議で定めるものが保管しなければならない。

 

【問 7】 正 解 ③

①は正しい。 区分所有者は、規約又は集会の決議により、書面による議決権の行使に代えて、電磁的方法によって議決権を行使することができる。

②は正しい。 区分所有法又は規約により集会において決議をすべき場合において、区分所有者全員の承諾があるときは、書面又は電磁的方法による決議をすることができる。そして、この書面又は電磁的方法による決議は、集会の決議と同一の効力を有する。

③は誤りで、正解。 集会の招集の通知は、会日より少なくとも1週間前に、会議の目的たる事項を示して、各区分所有者に発しなければならない。ただし、この期間は、規約で伸縮することができる。そして、この規定は、電磁的方法による決議についても準用される。

④は正しい。 区分所有者全員の書面又は電磁的方法による合意があったときは、書面又は電磁的方法による決議があったものとみなす。そして、その決議は、集会の決議と同一の効力を有する。

 

【問 8】 正 解 ②

①は規約で別段の定めをすることができる。 共用部分の保存行為は、各区分所有者がすることができる。

②は規約で別段の定めをすることができず、正解。 共用部分の変更(その形状又は効用の著しい変更を伴わないものを除く。)は、区分所有者及び議決権の各4分の3以上の多数による集会の決議で決する。ただし、この区分所有者の定数は、規約でその過半数まで減ずることができる。しかし、議決権を過半数まで減ずることはできない。

③は規約で別段の定めをすることができる。 各共有者は、その持分に応じて、共用部分の負担に任じ、共用部分から生ずる利益を収取する。そして、この点については、規約で別段の定めをすることができる。

④は規約で別段の定めをすることができる。 一部共用部分は、これを共用すべき区分所有者の共有に属する。そして、この点については、規約で別段の定めをすることができる。

 

【問 9】 正 解 ①

①は誤りで、正解。 建替え決議があったときは、集会を招集した者は、遅滞なく、建替え決議に賛成しなかった区分所有者(その承継人を含む。)に対し、建替え決議の内容により建替えに参加するか否かを回答すべき旨を書面で催告しなければならない。

②は正しい。 本肢は、建替え参加者間に、建替え決議の内容により建替えを行う旨の合意が成立したことを擬制するものである。

③は正しい。 肢①の催告期間内に回答しなかった区分所有者は、建替えに参加しない旨を回答したものとみなす。そして、その催告期間が経過したときは、建替え参加者は、その催告期間の満了の日から2月以内に、建替えに参加しない旨を回答した区分所有者(その承継人を含む。)に対し、区分所有権及び敷地利用権を時価で売り渡すべきことを請求することができる。

④は正しい。 売渡請求権を行使して建替え不参加者の区分所有権等を強制的に買い取った者が、正当な理由なくいつまでも建替えの実行に着手しないことは衡平を欠くため、本肢の規定が設けられた。

 

【問 10】 正 解 ②

①は正しい。 一団地内の附属施設たる建物は、団地規約により団地共用部分とすることができる。

②は誤りで、正解。 団地共用部分とすることができるのは、団地建物所有者全員の共有に属する附属施設たる建物に限られ、団地建物所有者の一部の共有に属する附属施設たる建物は、団地共用部分とすることができない。

③は正しい。 団地規約によって団地共用部分を定めた場合には、その旨の登記をしなければ、これをもって第三者に対抗することができない。

④は正しい。 一団地内の附属施設たる建物は、区分所有法66条において準用する同法30条1項の規約により、団地共用部分とすることができる。したがって、この団地規約の設定は、団地建物所有者及びその議決権の各4分の3以上の多数による集会の決議によってする。

『住宅新報』2021年12月7日号「21年度マンション管理士試験 本社解答と解説 」より

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