21年度管理業務主任者試験 本社正解と解説 【問31~40】

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【問 31】 正 解 ③

①は不適切。 理事会には理事本人が出席して、議論に参加し、議決権を行使することが求められる。したがって、理事の代理出席(議決権の代理行使を含む。)を、規約において認める旨の明文の規定がない場合に認めることは適当でない。

②は不適切。 理事がやむを得ず欠席する場合には、事前に議決権行使書を出せるようにすることが考えられるが、これを認める場合には、理事会に出席できない理事が、あらかじめ通知された事項について、書面をもって表決することを認める旨を、規約の明文の規定で定めることが必要である。

③は最も適切で、正解。 専有部分の修繕等に関する承認又は不承認については、理事の過半数の承諾があるときは、(監事が反対しても、)書面又は電磁的方法による決議によることができる。

④は不適切。 「理事に事故があり、理事会に出席できない場合は、その配偶者又は一親等の親族に限り、代理出席(議決権の代理行使を含む。)を認める」旨を定める規約の規定は有効であると解されるが、その旨の規約がなければ、これを認めることはできない。

 

【問 32】 正 解 ①

①は最も不適切で、正解。 専有部分と敷地利用権の分離処分が禁止されている場合において、区分所有者が数個の専有部分を所有するときは、各専有部分に係る敷地利用権の割合は、共用部分の持分の割合による。ただし、規約でこの割合と定めをすることができる。

②は適切。 共用部分の変更や、共用部分の管理に関する事項が、専有部分の使用に特別の影響を及ぼすべきときは、その専有部分の所有者の承諾を得なければならない。

③は適切。 各共有者は、規約に別段の定めがない限り、その持分に応じて、共用部分の負担に任じ、共用部分から生ずる利益を収取する。したがって、規約に別段の定めがあれば、共用部分の持分の割合と管理費等の負担割合は、一致しない。

④は適切。 共用部分の共有者は、区分所有法に別段の定めがある場合を除いて、その有する専有部分と分離して共用部分の持分を処分することができない。この「別段の定め」とは、?規約によって他の区分所有者又は管理者を共用部分の所有者とする場合、及び?規約により共用部分の持分の割合を変更する場合である。

 

【問 33】 正 解 ②

アは適切。 共用部分の変更は、区分所有者及び議決権の各4分の3以上の多数による集会の決議で決するが、この区分所有者の定数は、規約でその過半数まで減ずることができる。また、規約の変更も、区分所有者及び議決権の各4分の3以上の多数による集会の決議によってするが、この定数を変更することは許されない。

イは不適切。 共用部分の変更も、規約の変更も、区分所有者全員の承諾があれば、集会によらず書面による決議ですることができる。

ウは不適切。 集会の招集通知を発する際には、共用部分の変更にかかる議案についても、規約の変更に係る議案についても、議案の要領を各区分所有者に通知する必要がある。

エは適切。 規約の設定や変更においては、その規約事項について区分所有者間の利害の衡平が図られなければならない。

適切なものはアとエの2つであり、②が正解である。

 

【問 34】 正 解 ④

①は売渡請求できない。 建替え決議で建替えに賛成した者は、その後、建替えに参加しない旨の意思表示をすることはできないから、本肢の区分所有者に対しては売渡請求をすることができない。

②は売渡請求できない。 建替え決議に賛成しなかった区分所有者が、催告期間内に建替えに参加する旨を回答した場合、その後、その参加の回答を撤回することはできないと解されるから、本肢の区分所有者に対しては売渡請求をすることができない。

③は売渡請求できない。 建替え決議に賛成しなかった区分所有者が、催告期間内に建替えに参加しない旨を回答した場合、催告期間内であれば、その不参加の回答を撤回することができると解されるから、本肢の区分所有者に対しては売渡請求をすることができない。

④は売渡請求できるので、正解。 建替え決議に賛成しなかった区分所有者が、催告期間内に回答しなかった場合、その者は、建替えに参加しない旨を回答したものとみなすから、本肢の区分所有者に対しては売渡請求をすることができる。

 

【問 35】 正 解 ③

①は適切。 区分所有法第4節(管理者)の規定は、管理組合法人には適用されないから、代表理事を管理者とする旨を規約で定めても無効である。

②は適切。 管理組合法人の代理権に加えた制限は、善意の第三者に対抗することができない。また、理事の代理権に加えた制限も、善意の第三者に対抗することができない。

③は最も不適切で、正解。 理事が数人あるときは、各自管理組合法人を代表する。ただし、規約若しくは集会の決議によって、管理組合法人を代表すべき理事を定めることができる。また、規約の定めに基づき理事の互選によって管理組合法人を代表すべき理事を定めることもできる。

④は適切。 監事の任期は、2年とする。ただし、規約で3年以内において別段の期間を定めたときは、その期間とする。したがって、本肢の記述は適切である。

 

【問 36】 正 解 ②

アは不適切。 専有部分が数人の共有に属するときは、招集通知は、共有者によって定められた議決権を行使すべき者(その者がないときは、共有者の一人)にすれば足りる。したがって、招集通知書は、1人で2住戸を有する6人に6部、1住戸を有する81人に81部、共有の3住戸に3部の90部必要である。

イは不適切。 総会の会議は、議決権総数の半数以上を有する組合員が出席しなければならない。本問では、総議決権数が96なので、出席する組合員の議決権数の合計が48以上であることが必要である。「49」ではない。

ウは適切。 総会の招集の請求には、組合員総数の5分の1以上及び議決権総数の5分の1以上に当たる組合員の同意が必要である。本問では、組合員数が90、議決権総数が96なので、それぞれ18以上、20以上の同意が必要である。

エは適切。 規約の変更は、組合員総数の4分の3以上及び議決権総数の4分の3以上で決する。したがって、それぞれ68以上、72以上の賛成が必要である。

不適切なものはアとイの2つであり、②が正解である。

 

【問 37】 正 解 ③

①は規約共用部分にできない。 規約共用部分にすることができるのは、専有部分になり得る建物の部分と、附属建物である。団地内にある集会所に使われている建物は、特定の区分所有建物の附属建物に当たらないので、規約共用部分にすることができない。

②は規約共用部分にできない。 屋根のない駐輪場は、建物ではないので、規約共用部分にすることができない。

③は規約共用部分にでき、正解。 専有部分となり得る部分は、規約共用部分にすることができる。

④は規約共用部分にできない。 エントランスホールは法定共用部分であり、専有部分になり得ない。したがって、規約共用部分にすることもできない。

 

【問 38】 正 解 ②

アは理事会の決議のみではできない。 管理委託契約の締結については、集会の決議を経なければならない。したがって、理事会の決議のみでは行うことができない。

イは理事会の決議のみではできない。 マンションの屋上に携帯電話基地局を設置することは、形状又は効用の著しい変更を伴わない変更行為(軽微変更)に当たるので、集会における普通決議が必要である。したがって、理事会の決議のみでは行うことができない。

ウは理事会の決議のみでできる。 理事会は、その責任と権限の範囲内において、専門委員会を設置し、特定の課題を調査又は検討させることができる。

エは理事会の決議のみでできる。 理事長は、理事のうちから理事会で選任する。そのようにして選任された理事長は、理事の過半数の一致により解任することができる。

理事会の決議のみで行うことができるものは、ウとエの2つであり、②が正解である。

 

【問 39】 正 解 ②

アは適切。 特定の専有部分から出る汚水を、階下の専有部分の天井裏に配された枝管を通じて、共用部分である本管に流す場合、その枝管は、その構造及び設置場所に照らし、専有部分に属しない建物の附属物にあたり、区分所有者全員の共用部分である(最判平12.3.21)。

イは不適切。 賃借人(占有者)に対する引渡しを求める集会決議をするには、賃借人に対して弁明の機会を与えれば足り、賃貸人である区分所有者に弁明の機会を与える必要はない(最判昭62.7.17)。

ウは適切。 専用使用料の増額の必要性及び合理性が認められ、かつ、増額された使用料が社会通念上相当な額であると認められる場合には、専用使用権者の権利に「特別の影響」を及ぼすものではない(最判平10.10.30)。したがって、専用使用権者の承諾を得ることなく増額を決することができる。

エは不適切。 判例は、憲法21条1項は表現の自由を絶対無制限に保障したものではなく、公共の福祉のため必要かつ合理的な制限を是認するものとしたうえで、本件立入り行為をもって刑法130条前段の罪に問うことは憲法21条1項に違反するものではないとして、住居侵入罪を認めた(最判平21.11.30)。

適切なものは、アとウの2つであり、②が正解である。

 

【問 40】 正 解 ②

アは適用されない。 マンションの分譲業者は「事業者」である。また、合同会社は法人であるので「事業者」である。「事業者」間の契約なので「消費者契約」ではなく、消費者契約法は適用されない。

イは適用される。 宅地建物取引業者は「事業者」である。宅地建物取引業者が個人に居住用として売却する契約は「消費者契約」に該当し、消費者契約法が適用される。

ウは適用されない。 マンションの賃貸業者は「事業者」である。また、個人でも事業のために契約の当事者になる場合におけるものは、「事業者」である。1階の店舗部分を店舗用として賃借する契約は「事業者」間の契約なので、「消費者契約」ではなく、消費者契約法は適用されない。

エは適用される。 マンションの賃貸業者は「事業者」である。また、個人の宅建業者がその業務とは関係がなく、個人の住居用として賃借する契約は個人が契約の当事者となるので「消費者契約」に該当し、消費者契約法が適用される。

消費者契約法が適用されるのはイとエの2つであり、②が正解である。

『住宅新報』2021年12月21日号「21年度管理業務主任者試験 本社解答と解説 」より

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