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変化した住まいのニーズ、次世代に引き継ぐ質の高い住宅 ~その2~

2021.6.16|業界の知識を深める

  • ニューノーマル
  • 脱炭素化
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浮上する2つのキーワード

新型コロナで、住宅に求められるものが変わった。そのキーワードとなるのが、「ニューノーマル対応」と「脱炭素化」だ。在宅勤務が一般化し、通勤の重要性が低下する一方、家で過ごす時間が長くなり、多様な住まい方に人々の関心の重点が移りつつある。一方、自宅での時間が長くなると、光熱費負担の増加を意識するようになった。住宅の一次取得者層は、気候変動への関心も高い世代ということもあり、住まいの省エネ性能への関心も高まっている。住まいに求められる新しい生活様式はどのようなものとなるのだろうか。これら2つのキーワードから紐解いていく。

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ニューノーマルや脱炭素 新たな時代にふさわしい住宅へ

自民党 住宅土地・都市政策調査会会長 石原伸晃衆議院議員

新しい生活様式が根付く中、国民が住まいに求めるものや住まい方が変化し、それに伴って住まいのあり方も変わりつつある。こうした状況に対応する新しい住宅政策・税制はどうなるのか。自民党の住宅土地・都市政策調査会会長である石原伸晃衆議院議員に話を聞いた。(聞き手=桑島良紀)

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――新型コロナウイルスで住宅に対する考え方が変わった。

「住宅を取り巻く環境が大きく変わったと思います。在宅勤務、テレワークが日常化するなどコロナが始まる前までは考えもしなかったですよね。今の家、マンションには書斎はほとんどありませんから、そういうニーズもあります。テレワークで会社に行かなくてもいいので距離が少し遠くてもかまわない人も出てきました。その一方で、マンションは駅に近いところが売れています。住宅着工戸数も100万戸を切る水準が常態化して、20年度は80万戸台になりました。親が持ち家所有者という人同士が結婚していますし、東京は世帯数も減少に転じます。そういった中で、どのような住宅政策が必要になるかを考えていきます」

――脱炭素の動きや住生活基本計画で、省エネ基準適用義務化の方向性が盛り込まれたことについて。

「菅総理は、温室効果ガスを2030年に13年比マイナス46%という高い目標を環境サミットで掲げました。住宅・建築物部門は全エネルギー消費量の約3割を占め、省エネが急務ですが、それに応えられる住宅をどう作っていくのか、新しい取り組みが必要になってきます。これまでの太陽光発電や断熱性向上などに加え、蓄電システムの普及が考えられます。また、効率的にエネルギーを使うためのデジタル化や、DX(デジタルトランスフォーメーション)による生活の変化への対応も必要になります。一方、経済再生の上で時代に合った住宅を推進して新たなニーズを開拓することが必要になると捉えています。

バイデン政権の発足、イギリスのG7議長国就任など、脱炭素に向けた世界的な気運が高まるなか、住生活基本計画において、更なる規制の強化を含め住宅の省エネルギー性能の向上に向けた取組に関し、積極的な方向性を打ち出したことは評価しています。中小工務店等を含めて、住宅業界が全体として新しい脱炭素社会に対応できるよう支援する必要があります。政府にはきめ細かい対応を求めるとともに、『長期優良住宅』『省エネ住宅』などの良質な住宅の普及をしっかりと後押ししていくよう求めていきたいと考えます」

――グリーン住宅ポイントなど新しい生活様式に対応した政策も実現された。

「昨年11月、住宅土地・都市政策調査会において『コロナ禍からの日本経済浮揚に向けた住宅土地・都市政策に関する緊急提言』をとりまとめ、経済対策として、住宅ローン減税等の税制上の措置のほか、グリーン住宅ポイント制度の創設を決めました。グリーン住宅ポイント制度は、省エネ性能の高い住宅の普及はもちろんのこと、自動水栓の設置やテレワークスペースの整備、地方移住など、新たな生活様式における居住ニーズにも対応したものとなっていると評価しています」

――既存住宅市場の活性化に関して、長期優良住宅見直しと買取再販事業の促進に関する考えは。

「政府が今国会に提出した法案は、長期優良住宅の認定促進等による住宅の質の向上に加えて、買主が既存住宅を安心して購入できる環境を更に整備するもので、我が国の既存住宅流通市場の活性化に貢献するものと考えています。既存住宅の質に対する不安を解消する『買取再販』については、既存住宅流通の促進に向けて大きな役割を果たしてくれるものと期待しています。事業者に対して不動産取得税の、消費者に対して登録免許税の特例措置を講じておりますので、ぜひ多くの方にご活用いただきたいと思います」

――ニューノーマルや脱炭素化を踏まえた住宅市場や住宅政策のあり方について。

「時代は大きく変化し、住宅を取り巻く環境が昔に戻ることはありません。社会構造が変われば住宅の持つ意味や位置付けも変わります。新しい時代にふさわしい住宅とはどうあるべきか、その姿を提言し、推進するのが住宅土地・都市政策調査会長としての私の責務だと考えています。」

『住宅新報』2021年6月8日号「新しい生活様式特集」より)

その3へ続く