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進む〝不動産DX〟 ~その1~

2021.6.2|業界の知識を深める

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不動産業界では今、新型コロナウイルスの影響を受けて電子契約やAI(人工知能)、業務支援システムなど、不動産にテクノロジーを用いる不動産テック、不動産DX(デジタルトランスフォーメーション)の活用が急速に進んでいる。こうした技術の進展は、今後の業務効率化やコミュニケーションの手法において大きな進化を促す。今回、その動きのいくつかを追った。


DX不動産推進協会が設立

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DX(デジタルトランスフォーメーション)は、デジタル技術を活用することでビジネスモデルや組織を革新していくものだ。世の中は今、新型コロナの感染拡大を機に、様々な産業分野で「対面・紙・ハンコ」をデジタル化するための法制度や慣習の見直しの動きが加速している。

不動産業界においても、非接触・非対面を前提としたコミュニケーション、業務の効率化、生産性向上のために、集積データの活用やDXの推進が緊急の課題となっている。

そんな中で昨年12月、Robot Home、Casa、 プロパティエージェント、GA technologies、AMBITION、ZUU、Residence kit、シーラホールディングスの各社が共同で「一般社団法人DX不動産推進協会」を立ち上げた。

同協会は「不動産取引の全面電子化」を最優先課題とし、民間の立場から政策提言を行うと同時に、未来の不動産の品質や売買のあり方を変えることで、生活者の住環境における利便性の向上に努めていきたいとしている。

今年4月19日には同協会の設立総会が開かれ、経済再生・コロナ対策担当大臣で衆議院議員の西村康稔氏らも出席。開会のあいさつとして登壇した西村氏は「ぜひDXを進めて頂き、新たな産業の成長の柱になってほしい」と語り、期待を寄せた。


テクノロジーを活用した「未来の不動産取引」を推進

同協会では今後、100社以上を目標に、DX推進に賛同する会員会社を集めていきたいという。IoT(モノのインターネット)やAI(人工知能)など、先進的な技術を使って様々な社会問題を解決すると共に、DXの普及によって不動産領域における業界市場の活性化も狙っている。

また他にも、物件情報のID統一化や、現在、法務局や税務署、市区町村役場、民間企業に分散している不動産の履歴情報などの一元化、そして情報の有効活用についても提案し、促進していきたいという。


不動産共通IDの提供開始

「不動産情報の連携」においても、テクノロジーを駆使し、利便性を高めようという取り組みが始まっている。

不動産に関する情報は、不動産事業者各社がそれぞれ定めた「住所」や「物件名」などによって管理されている。つまりその表記方法は統一されていない。そのため、同一物件の住所でも「大字(おおあざ)」を入れたり入れなかったり、「三丁目」と「3丁目」など書き方が違ったりといった表記ゆれや誤入力が発生しており、同一物件の特定が難しく、各社が持つ不動産情報の連携が困難だという問題を抱えていた。

こうした課題を克服し、生活や企業活動にとって有用かつ必須な不動産情報の利用可能性を広げるため、新たな仕組みが登場した。

それが、一般社団法人不動産テック協会と、位置情報に関するシステム開発会社であるGeoloniaが提供を開始した「不動産共通ID」だ。現在、ベータ版が4月15日から提供されている。

不動産共通IDは、不動産に関わるすべての業界情報の連携を目指しており、国内の土地や建物などの不動産情報の一つひとつに共通のIDを付けるものだ。これにより、一つの不動産に関する様々なサービスがスムーズにつながる。この不動産共通IDの整備は行政においても長年の課題であった。だから、不動産業界だけでなく、物流業界や行政機関などにも幅広く応用可能なインフラとなる。

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各社の不動産情報を連携し、物件を容易に特定

前述の不動産共通IDは、各社で表記などが異なる不動産情報に対して、同一の物件を示す情報に共通のIDを付与するもので、それによって表記ゆれがある住所や物件名が入力されても、同じIDがレスポンスされる特定技術により、物件の特定を容易にする。そのため、これまで不動産情報のデータ連携にかかっていたコストも削減できることになる。

不動産共通IDの利用登録数は、事前登録を始めた今年3月の時点で、大手不動産会社や不動産テック企業、公共機関など46社。今後は年内100社を目指し、さらに不動産業界全体の情報連携を目標に活動を推し進めていく。

『住宅新報』2021年5月25日号「不動産情報化特集」より)

その2へ続く