記事

準備をする

住宅産業のコロナ禍対応 「新しい生活様式」に注力した1年 ~その1~

2021.5.28|業界の知識を深める

  • コロナ禍
  • 新生活様式
記事イメージ

暮らしの改善に期待を背負う

新型コロナウイルス感染拡大とそれに伴う外出自粛の動き(コロナ禍)が始まってから約1年が経過した。この未曽有の出来事は、住宅産業各社の事業に大きな影響を与えた一方、暮らしに直結するという事業の性格上、「新たな生活様式(ニューノーマル)」への対応を迫られた人々から強い期待を寄せられたと言ってよく、またそのためかつてないほどのスピーディーな対応を求められた1年となった。そこで、この記事では改めてこれまでの事業者の取り組みを振り返ってみた。(住生活ジャーナリスト 田中直輝)


20年度の新設住宅着工 80万戸台をキープか

コロナ禍は想定外、かつ全世界規模に広がる出来事となり、我が国においても暮らしや経済に大きな影響を及ぼした。このため、当初は影響の大きさに関する予測が不確定な情報から行われ混乱を来す状況が見られた。現に今でも回復の兆しが見られない旅行に関わる産業はもちろん、様々な業種でこれまでにない苦境が予測されている。 住宅産業も同様だった。その指標となる新設住宅着工について、「2020年度、21年度はそれぞれ73万戸、74万戸と推計され、いずれもリーマンショック時の水準(78万戸)を下回る見込み」(野村総研)などといった予想も見られた。これは、住宅の取得が「人生で最も高額な買い物」であるためで、今回のような先の読めない混乱の中では、悲観的な予測が出るのも致し方ないことだった。では、実際にはどうなっているのか。

国土交通省が3月26日に発表した建築着工統計調査報告〈令和3年1月分〉によると、20年度の新設住宅着工(季節調整済年率換算値)を80万1000戸としている。19年度は約88万3700戸だから、前年度比で10%近くの減少となり、かろうじて80万戸の水準を維持している状況で、それはそれで厳しい状況であることは変わりないが、どうやら70万戸台前半まで落ち込むことは避けられそうな状況となっている。

ちなみに、1月26日に発表された20年年計(1月~12月)の新設住宅着工は、前年比9・9%減の81万5340戸となっていた。内訳をみると、持家(注文住宅)が同9・6%減の 26万1088戸、貸家(賃貸住宅)は同10・4%減の30万6753戸、分譲住宅が同10・2%減の24万268戸(マンションが同8・4%減の10万7884戸、戸建てが同11・4%減の13万753戸)となっていた。こうした状況を見ると、住宅分野はある程度健闘している産業の一つと見て取れそうだ。

9k=

施工現場では、コロナ禍にあっても感染防止の取り組みを行いながら住宅供給が続けられた

『住宅新報』2021年4月27日号「住まいと暮らし特集」より)

その2へ続く