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新たな日常を暮らす住宅 感染対策・防災機能が標準搭載に ~その3~

2021.5.11|業界の知識を深める

  • 感染対策
  • 防災機能
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住宅意識の変化を捉えた提案を

1年前、新型コロナウイルス感染症の影響がここまで長引くとは想像もしていなかった。2年目に突入した現在、第4波により再度新規感染者数が増加しており、「Afterコロナ」ではなく「Withコロナ」の時代として、生活様式の変更に加えて住まいに対する意識を変えていく必要に迫られている。新たな日常を安心・安全・快適に暮らしていくためには、様々な災害に対する住宅の備えに加え、コロナ禍での経験を踏まえた新しい提案もほしいところだ。(ライター 玉城麻子)

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「在宅避難」の拠点として

コロナに加えて、防災意識も高まっている。地震だけでなく、台風や豪雨による水害や土砂崩れも増え、その被害規模は年々拡大傾向にある。20年7月に熊本県を中心に九州地方で起きた「令和2年豪雨」では、コロナ禍での避難生活の難しさが知られることとなり、「在宅避難」という選択肢も重要であることが指摘された。

特に、東京など大都市圏では高層マンションが増えたこともあり、人口数が避難所での受け入れ人数を超えている地域があったり、耐震性や風水害に対応しているマンションのほうが、防災機能が高い可能性もある。東京都が発行した『東京防災』でも、「自宅で居住の継続ができる状況であれば、在宅避難をしましょう。(中略)事前に住宅の耐震化を行い、食料や水など必要な物を備え、可能なかぎり在宅避難できる準備を整えておくことが大切」とし、在宅避難の準備として、①ライフライン(ガス・電気・水道)の代替手段、②食料・日用品の備蓄、③下水道の使用確認――の3項目を掲げている。

在宅避難は、情報や生活物資の調達を自分でしなければならないが、生活環境を変えずに避難生活を送ることができるため体調を崩しにくく、高齢者や介護者がいる世帯であれば安心。プライバシーが確保できる上、家族など少人数で生活することから感染リスクが低いことがメリットだ。居住地域のハザードマップを確認し、災害発生時に避難が必要な立地かどうかを把握しておくことが大切になる。浸水や土砂災害などが生じない地域であれば、「在宅避難」を選択肢に入れておきたい。


レジリエンス機能を強化

そのためにも、自宅の耐震化やライフラインが断絶した時の備えが必要になる。住宅メーカー各社は、太陽光発電システムや蓄電池などを組み合わせ、ZEHなどを活用した災害に強い住宅の提案を行っている。

例えば旭化成ホームズは、構造躯体に加え太陽光発電・蓄電池など自立エネルギー設備の普及、建物損傷の早期復旧の実現を目指したトータルサポート体制を整備し、特に戸建て住宅では自助機能を重視している。パナソニックホームズでは、制震技術「座屈拘束技術」を搭載し、3日分の電気・水を確保できる太陽光発電・蓄電システムと貯水タンクを備えた、「防災持続力を備える家」を全国展開している。IoT技術による災害予測と自動的な予防対応を行う総合的なサポート体制によって、災害時でも住み続けることができる。

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防災持続力を高める家(パナソニックホームズ)

EV(電気自動車)と太陽光発電システムを系統連系させる「VtoHeim」を展開するセキスイハイムでは、蓄電池も接続させる「スマートハイムTB」シリーズを提案しているが、対応車種の拡充に加え、蓄電池の設置場所として2階バルコニーを追加したり、「飲料水貯留システム」により断水時にも飲料水を確保できるようにするなど、順次ライフラインの確保・強化を図っている。生活に必要なレジリエンス機能を強化した減災パッケージにより、「在宅避難」の実現を目指している。

また積水ハウスでは、「地震・防災住宅オンラインセミナー」を開催し、住民の意識付けに取り組む。コロナ禍による外出自粛などの影響で、食料品や日用品の備蓄を余儀なくされたことを受け、防災に対する意識も高まっている。

日常的に使う物を活用しながらの備蓄方法「ローリングストック」についても、かなり認知が広がった。頻発する自然災害に今回のコロナによって、住まう人の災害に対する意識が大きく変わろうとしている。レジリエンス機能がオプションではなく標準性能として定着させるためにも、この機会を逃さずに、丁寧な説明と情報提供を「継続」して行っていくことが重要になってくるだろう。

『住宅新報』2021年4月27日号「住まいと暮らし特集」より)

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