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新たな日常を暮らす住宅 感染対策・防災機能が標準搭載に ~その2~

2021.5.11|業界の知識を深める

  • 感染対策
  • 防災機能
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住宅意識の変化を捉えた提案を

1年前、新型コロナウイルス感染症の影響がここまで長引くとは想像もしていなかった。2年目に突入した現在、第4波により再度新規感染者数が増加しており、「Afterコロナ」ではなく「Withコロナ」の時代として、生活様式の変更に加えて住まいに対する意識を変えていく必要に迫られている。新たな日常を安心・安全・快適に暮らしていくためには、様々な災害に対する住宅の備えに加え、コロナ禍での経験を踏まえた新しい提案もほしいところだ。(ライター 玉城麻子)

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テレワークの定着で都心近郊に住み替えも

急事態宣言による外出自粛要請は、テレワークの導入を後押しした。国土交通省が今年3月に発表した「令和2年度テレワーク人口実態調査」(調査期間・20年11月)によると、20年度のテレワーク実施率は22・5%(全就業者)で、前年度から7・1㌽上昇し、伸長率としては過去5年間で最高幅となった。コロナによる緊急事態宣言の影響を受け、企業のテレワーク導入が進んだことが分かる。

一方、テレワークの実施は首都圏(34・1%)が高く、地方都市圏(16・2%)については低い。これは、通勤時間が30分未満の人が多く、また通勤交通手段が自動車・二輪車ということが一因と考えられるという。つまり、テレワークの導入が住まいを見直すきっかけになるのは、首都圏ワーカーが中心になることが想定される。

実際に20年4月の緊急事態宣言以降、不動産サイトの閲覧件数が急増したといい、特に関東圏では都心から100㌔圏内の物件閲覧数が上昇したという(SUUMO調べ)。また、軽井沢や熱海といった都心から1時間圏内の観光・リゾートエリアの物件問い合わせ数が増えるなどの動きもあったことから、今後テレワークが定着していけば都心近郊への住み替えや二地域居住の動きが活発になる可能性も見込まれる。


生活+運動拠点に

緊急事態宣言に伴う外出自粛により、スポーツジムやウォーキングを控え、運動不足を実感することも多かったのではないだろうか。

明治安田生命保険相互が20年9月に発表した「健康」に関するアンケート調査によると、ステイホーム・コロナ禍を機に「より健康意識が高まった」との回答は45・1%となり、具体的には「食事・栄養に気を配るようになった」が50・9%、「運動を心がけるようになった」は35・3%、「ストレスをためないように心がけるようになった」は22・8%だった。また、具体的な生活習慣や身体の変化については、「運動不足・食生活の乱れによる体重の増加」が21・2%、「ストレスの増加」が24・1%となり、2割以上が身体・精神的な影響を受けたとしている。在宅時間の長期化や外出自粛を受け、健康増進に向けて生活習慣の改善に取り組む動きが増えると共に、やはり身体・精神的に影響が及んでいることが分かる 。

コロナ前と比べた健康状態については48・1%が「健康になった」と回答し、このうち約4割が日常的に「運動・スポーツを行っている」としている。具体的なスポーツとしては、「ウォーキング」が57・0%と最も多く、「体操(ヨガ・エアロビクスなど含む)」(22・7%)、「ランニング(ジョギング)」(17・1%)と続き、密にならずに1人で手軽にできたり、自宅で気軽にできたりする「巣ごもり」運動・スポーツに人気が集まった。

現在の運動やスポーツの実施状況については全体の36・5%が日常的に行っており、前回調査時(33・2%)と比べて3・3㌽上昇したが、このうち33・8%は「現在中断中」となっている。継続できている運動・スポーツは、「ウォーキング」(56・0%)や「体操」(22・4%)、「ランニング」(17・6%)で、中断している運動・スポーツは「ゴルフ」(10・3%)や「水泳」(7・3%)など、やはりスポーツジムや複数人で行うものについては、施設の営業休止措置や感染予防の観点から控える傾向にあった。更に、テレワークや在宅勤務による運動不足が及ぼす健康二次被害、高齢者では生活習慣病などの発症や、ロコモティブシンドローム(運動器症候群)に代表されるように、体力・生活機能の低下(骨や筋肉等運動器の衰え、認知症など)をきたすリスクの高まりなどが指摘されている。

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コロナ禍では、ヨガやエアロビクスなどの〝巣ごもり〟運動が人気

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3密対策ができ、外で気分転換できるウォーキングは定番


健康増進の観点も

これからの「Withコロナ」を意識した日常生活を考えると、「自宅内で運動スペースを確保したい」というニーズが増える可能性がある。自粛期間中は運動系ゲーム・動画の人気が高まったというように、本格的なトレーニングスペースというよりも、リビングや玄関・廊下などを利活用したり、ワークスペースとの兼用といったことが想定されそうだ。

例えば、テレワークでニーズが高まったワークスペースでは、リモート会議による音漏れや生活音を遮断するために防音性が求められることが多い。床材に防振対策を行えば、軽度の飛び跳ね動作が伴う運動スペースとしても利用することができるだろう。玄関や廊下も同様だ。

高齢者世帯の場合、バリアフリーや高断熱性を重視しがちだが、長寿化が進みアクティブシニア層も増えている。これまでの「健康住宅」は住宅設備や建材などハード面の整備による措置が中心だったが、「Withコロナ」の新たな生活では、それに加えてより積極的な健康維持・増進をサポートすることが求められるのではないだろうか。外出自粛期間中、積水ハウスでは、アシックスと共同研究開発した運動プログラム「おうちでフィットネス」を無料公開した。「取り組みやすさ」に配慮し、思い立ったときにいつでも、人目を気にせずマイペースで運動ができるプログラムで、公開されたプログラムは1回5分程度・限られたスペースで年齢を問わず取り組めるため、快適な暮らしを支える運動習慣を身につけられるとしている。

『住宅新報』2021年4月27日号「住まいと暮らし特集」より)

その3へ続く