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持続可能なまちづくりへ タウンマネジメントに注力 ~その2~

2021.5.4|業界の知識を深める

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かつては〝家を建てて引き渡す〟までだった住宅開発のあり方も、少子高齢化が進行する中、時代のニーズに伴い、大幅に変化した。トヨタ自動車とパナソニックの住宅事業を統合し、パナソニック ホームズ、トヨタホーム、ミサワホームなどの親会社として昨年1月に設立したプライム ライフ テクノロジーズ(以下「PLT」)は、住宅メーカーから〝まち興し事業者〟へと段階的に進化する事業方針を掲げた。大手住宅会社は、異業種や教育機関、自治体などと連携しながら、持続可能な街づくりに注力、〝ソフト〟の拡充を進めている。(フリーライター 小山田湊)

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住民と二人三脚、活動担い手も掘り起し

ポラスグループは、分譲地対抗の運動会やボウリング大会といったイベントなど、分譲地を引き渡した後も住民間の交流の機会を積極的に提供している。中でも、千葉県・埼玉県を中心に分譲戸建住宅を供給している中央グリーン開発は、「サスティナブルなコミュニティは住む人を幸せにする」という企業方針を掲げ、時には入居者にとどまらない〝地元の声〟も取り入れながら、持続可能なコミュニティ形成を含めた開発に取り組んできた。

2016年11月には、同社が10年にわたり千葉県野田市光葉町で分譲を進めた「パレットコート七光台」(総戸数1035戸)の一角にコミュニティカフェを開設した。敷地・建物は同社の旧千葉支店。同分譲地の販売終了後の2014年に支社は移転した。

移転当初は、建物を解体し、跡地に分譲戸建住宅の開発を計画していたものの、〝(同社に)残ってほしい〟という既存入居者の声や、スクラップ&ビルドに対する社内での異論を受け、旧支店を活用する方針に転換。地元自治会の参加率低下といった地域課題の解決に乗り出した。地元住民のニーズのヒアリングや検討会を兼ねたワークショップ「光葉町ミライ会議」を、1年以上にわたり実施。スタートアップ支援や地域住民の雇用創出も目指すコミュニティカフェへの再生を決定した。

約1万2000㎡もの信用金庫研修所の跡地だった、埼玉県越谷市の新築分譲戸建住宅地「パレットコート北越谷フロードヴィレッジ」(総戸数64戸)の開発は、解体や施設併設など、既存の地域住民との二人三脚さながらだった。

17年4月の旧研修所の解体時には、跡地のグラウンドを利用していた地域住民を招き、「棟下式(むねおろしき)」を開催。神事や餅撒きをはじめ、施設内の備品を無償提供する「お宝発見ツアー」や野外映画上映会などを盛り込むなど、最後の〝思い出作り〟の機会を提供した。

また、市の条例のもと18年12月に竣工した集会所「みずべのアトリエ(南荻島出津自治会館Ⅱ)」の新設にあたっては、隣接地の自治会とともに、地域住民を集めたワークショップ「南荻島未来会議」を開催。時間をかけ、地域のニーズを掘り起こした。同施設が竣工した後は、住民や近隣の学生有志による「南荻島まちづくりサポーター」が発足。地域資源の河川敷も一体で活用することを視野に、施設の活用法を定期的に検討するなど、次世代の地域コミュニティの担い手も創出した。


入居者交流を支援、全分譲地に対応へ

同社は、2001年の埼玉県越谷市の全23棟の戸建分譲地で入居記念パーティーを催したのを皮切りに、規模や分譲地の特色に応じ、植栽や収納や防災といったテーマでワークショップやイベントを催すなど、入居者同士の情報共有やコミュニティ形成の支援に取り組んできた。当初は20~30棟規模がイベント開催の目安だったが、14年には、入居者コミュニティ促進施策をパッケージ化することで、担当者が変わってもコミュニティ支援が継続できる仕組みを構築した。それ以降は、規模を問わず、全分譲地で実行している。

パッケージの内訳は、①入居時交流会、②住民同士の交流会やイベント開催の一部物品補助やアドバイスなどのコミュニティサポート制度「マチトモ!」③入居者向け情報誌「スマイリング」(年3回発行)④問い合わせ窓口「暮らしのコンシェルジュ」⑤管理組合、建築・景観協定の導入。入居者向けの情報紙を販売ツールにも活用していた営業担当者からの声も全分譲地での実施を後押しした。


オンライン活用で 交流会の機能が進化

昨年5月以降は、新型コロナウイルス感染防止のため、入居者交流会やセミナーなどのコミュニティイベントは、ウェブ会議用ツール「Zoom(ズーム)」を活用し、オンラインに切り替えつつ継続している。チャットやグループ分けといった機能を活用することで、導入や合間のコミュニケーションが拡充。今後の活動のキーパーソンを掘り起こしやすくなった。事後調査では満足度の向上も見られるようになったという。