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カギ握るローンコンサル ~その1~

2021.4.26|業務のプロになる

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長期の低金利と共に住宅ローン商品や環境整備が続いていますが、この先も消費者のニーズや期待は高度化、複雑化していくことは明らかです。住宅ローンを中心とするマネープランのコンサルティングにおいても、住宅事業者の役割がますます重要になっていくことでしょう。執筆=田中法人(AFP/㈱サンクティ 代表取締役)監修=佐藤益弘(CFPR/㈱優益FPオフィス代表取締役)


変動金利への抵抗感薄れる

変動金利(短期固定金利を含む)ローンが本格的に導入されて以降、金利は上昇していません。今や「金利は上昇しない!」という声も多く聞こえてきます。低金利に慣れ親しんだ環境が変動金利に対する抵抗感も少なくしたのでしょう。

住宅金融支援機構の住宅ローン実態調査(住宅ローン利用者調査20年11月調査)によると利用した金利タイプのうち「変動金利」を利用した割合は62・9%、「5年以下の短期固定金利」を利用した割合は4・8%という状況です。

さらに、住宅ローンを選んだ理由をみると、「金利が低い」を理由にした割合が72・6%、次いで「住宅・販売事業者(営業マン等)の勧め」を理由にした割合が20・6%です。(表1)

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表1


これら消費者が選ぶ低い金利の住宅ローンは、ネットを検索すれば誰もが簡単に探せます。

例えば、住宅ローンアドバイザーの管理をしている一般財団法人住宅金融普及協会が長年、住宅ローンの金利情報を提供しています。事前審査もオンラインにより住宅業者を介さず消費者自らできます。ほとんどの銀行では住宅ローン専用の窓口や電話相談窓口を用意しています。さらに最近ではAIをもちいた住宅ローンの運用や事業者向けのDXサービスも始まってきました。

住宅ローン環境は随分進化してきました。環境が整備されてきたということは、賢い消費者が増えてきたということでもあるのです。消費者が求めるのは、よりレベルの高い的確な情報提供とサポートです。その要となるのが住宅ローンコンサルティングなのです。

住宅のコンサルティングが重要なように、今後、住宅ローンは専門的な見地からのコンサルティングが一層必要な時代なのです。


金利だけで選ばない

危うい金利上昇の思考

変動金利(短期固定金利も含む)の利用者は金利上昇へのリスクと向き合わなければなりません。気になるデータがあります。金利上昇に伴う返済額増加への対応として、変動金利利用者のうち「見当がつかない、わからない」との回答者が19.8%、「借換」とした回答者が11.7%となっています(表2)。安易に選ぶ住宅ローンは将来リスクへの対応が心配です。事業者として、住宅ローンの詳細な説明・提案が求められています。

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表2


表(表3)は35年返済6年目11年目に0・5%ずつ金利が上昇した場合を想定しました。この程度の金利上昇であれば借入額が5000万円の場合、年間約22万円の支払い増です。(11年目以降が2%であったら年間約32万円の支払い増)

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表3


金利上昇だけがリスクじゃない

金利上昇以外の家計リスクも無視できません。運よく金利が上昇しなかったとしても、お子様の成長による教育費の増加、不景気の加速によりボーナスの減少、思いがけない出費、生活環境の変化や将来に対するリスクは誰もが気になるところです。事実、住宅ローン利用予定者の希望する金利タイプでは全期間固定金利が概ね3割程度います。(実際の利用者は前述のとおりです。)(表4)

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表4


さらに、住宅ローン減税の利用や住宅取得資金としての贈与など、税制は現在および将来において金利以上にマネープランに影響します。「いくら借入するのか?」「住宅名義の持ち分はどうするのか?」「贈与・相続対策は?」など、税対策も考慮したうえでマネーコンサルティングが求められています。 ※表1・2・4 出典:住宅金融支援機構 住宅ローン利用者の実態調査【住宅ローン利用者調査(20年11月調査)】

『住宅新報』2021年3月16日号「不動産金融特集 住宅ローン」より)

その2へ続く