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〝新しい日常〟の実現はまず始めにリフォームから ~その2~

2021.4.26|業務のプロになる

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グリーン住宅ポイント制度が新たな呼び水に

新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、外出自粛やソーシャルディスタンスなどの感染予防対策に加えて、テレワークの導入とそれに伴う通勤頻度の減少と、生活環境も大きく変わった。それに伴い、暮らしや住まいに対する意識も変化。テレワークに対応したワークスペースや遮音性・快適性など、リフォームや住み替えにつながるニーズが生まれている。創設された新制度も活用し、まずはリフォームで〝新たな日常〟の実現を目指したい。(ライター 玉城麻子)

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ポイントで「新たな日常」整備

今回注目されるのは、ポイントを新型コロナウイルス感染対策に関連した商品・追加工事に交換できることだ。

国土交通省が公表した「発行されたポイントの交換対象となる追加工事の例」をみると、「ワークスペース設置」「音・空気環境向上工事」「菌・ウイルス拡散防止工事」、そして、「家事負担軽減に資する工事」が並んでいる。造り付けデスクカウンターの設置や間仕切り壁の設置・撤去、間取りの変更などに加えて、インターネット環境の整備や屋外ワークスペース、玄関周りの洗面台の設置も対象となる。

昨年3月の緊急事態宣言でテレワークを余儀なくされ、急きょ自宅にワークスペースを作ることになった人も多く、企業側にとっても一時的な措置で対応したところも多かった。その後、年明けに再度の緊急事態宣言となり、本格的にテレワークを導入しようと考える中小企業も増え、各家庭でもワークスペースを日常的に確保しようという機運が高まっている。自宅のリフォームに合わせて、テレワークを前提とした環境整備を行えるという部分は、リフォーム提案の大きな訴求ポイントになるだろう。逆に、テレワーク関連のリフォーム工事に対して、省エネ対応リフォームをうまく組み合わせて提案することも可能になる。

また家事負担軽減に関連する工事例では、キッチン・バス・トイレといった水周り設備に加え、宅配ボックスの設置も含まれた。在宅勤務とはいえ、休憩時間が決まっていたり、リモート会議中だったり、宅配便に対応できない場合もある。置き配への不安や再配達の軽減化なども考慮した追加工事例といえる。 防災関連についても、地震に加え集中豪雨や台風などが毎年のように自然災害が起き、大きな被害が発生していることから関心が高いだろう。追加工事例に掲げられた内容をみると、蓄電池や太陽光発電、EV充電設備、非常用発電設備の設置など「停電・断水対策」、屋根瓦の飛散防止といった「水害・台風対策」、家具固定器具や感電ブレーカーの設置などの「地震対策」も含まれた。コロナで東日本大震災発生から10年という節目が薄れていた感があるが、2月13日に発生した地震は改めて防災対策を意識する機会になったのではないだろうか。

今回の制度を活用することで、さまざまなリフォームを検討するきっかけにしてほしいところだ。


コロナで住宅への意識変化

住宅リフォーム市場規模は、19年は6兆300億円(住宅リフォーム・紛争処理支援センター推計)と、消費税増税の駆け込み需要で前年比5・4%となった。

20年はその反動に加えコロナ禍の影響により、19年推計を下回ると見込まれる。ここ数年は6兆円前後で推移し底堅い需要が示されているが、一方で、大きな需要喚起につながるような策がない状態が続いているともいえる。

しかし今回のコロナで在宅時間が長期化した結果、住まいについて考える時間が増え、住み替えやリフォームなどを検討する機会が増えたようだ。

リビタ(東京都目黒区)が20年7月に発表した「暮らしと住まいに関するアンケート調査」結果によると、「Stay Home期間中、何について考えることが増えたか」の問いに、「住まいのこと」との回答が74%、「働くこと」が70%となった。両方合わせて考える人も多く、テレワークの増加で住まいと働くことが密接な関係となってきたことが読み取れるとしている。

具体的に考えた内容については、ワークスペースや子どもの学習スペースの確保といった間取りや広さ、防音性や適切な室内温度など機能性の改善と、現状の住環境に不満を感じ、間取りの変更や快適性の向上を考える人が多い傾向が示された。

また、現在の住まいをリノベーションしたり、住み替えを検討するかどうかの問いでは、「住み替えたい」が39%、「リノベーション・改善したい」が33%となり、7割が改善意向を持っていることが判明。具体的に重視する点としては、「リラックスできること」(75%)や「家でも仕事ができる環境」(54%)、「家族と一緒に過ごせる」「自然を感じられる」(ともに38%)が上位となった。

テレワークに伴う通勤頻度の減少で住む場所の選択肢が広がったことや、メリハリのある住空間への関心の高まりなど、コロナによって住まいへの意識がハード・ソフト面ともに変化しているのがわかる。


1度行うと複数回実施

住宅リフォーム推進協議会が21年1月に発表した「住宅リフォームの消費者・事業者に関する実態調査」では、リフォーム経験者は複数回実施し、当初予算を超える費用をかけていることが明らかになった。

同協会では、定期的に実施している調査に加え、今回初めて「住宅リフォーム実施者実態把握調査」を行った。これによると、リフォーム実施者のうち直近で実施したリフォームが初回だったのは49・9%。残り半数弱が2回以上のリフォームを実施していた。さらに3年以内にリフォームを検討している人についても、検討中のリフォームが2回目以上となる人が78・5%となったことから、複数回のリフォームを実施する人の割合が多いことがわかる。

年代別では、初回リフォーム実施のピークは40代(61・2%)で、50代は50・2%、60代以上は38・3%と、年代が上がるとともに初回実施の割合は減少している。

また、初めてリフォームが物件取得時だった人は63・1%(中古物件取得時の割合は68・0%)、自己保有物件のリフォームをした人は46・4%となり、物件取得と合わせて初めてリフォームを行う人が半数以上を占めていた。

リフォーム検討のきっかけは、検討者・実施者ともに「設備・機器の老朽化」(39・7%/39・6%)が4割近くを占め、次いで「住宅構造部分が古くなった、壊れた」(34・5%/37・8%)と続く。実施内容は浴室やトイレ、台所など水周り設備が中心で、日常生活に影響を及ぼす設備・機器の老朽化が、リフォームの大きな要因となっていることが確認できる。

リフォームで重視することは、検討時も実施時も「設備の使い勝手がよくなること」や「耐久性の向上が見込めること」が上位で、検討段階から実施段階にかけて一貫している。世帯主の年代別では、中高年層では「最新機能の設備を活用できること」が若年層よりも高いことから、住宅の老朽化対策に加えて、利便性の高い設備へのリフォームに積極的であることが示された。

『住宅新報』2021年3月9日号「建て替えリフォーム特集」より)

その3へ続く