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2021.4.26|業務のプロになる

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不動産投資市場に次なる変化

新型コロナウイルス感染症が猛威を振るい、私達の生活は大きく変化した。世界の社会や経済も未曾有の事態で激動の最中にある。「適温相場」と言われた不動産投資市場を取り巻く内外の環境はコロナ禍によって一転し、今なお予断を許さない状態が続いている。そのような中にあって、不動産投資市場に今後どのような変化が見込まれるであろうか。本稿では、コロナ禍の激震の最中にある不動産投資市場について、20年の市場を振り返りつつ、その中で見えてきた新たな変化に焦点をあて、今後を見据える上での着眼点について考察していく。(一般財団法人日本不動産研究所 研究部兼国際部 次長 愼 明宏(不動産鑑定士))


コロナ禍の激震に見舞われる

新型コロナウイルス感染症が猛威を振るい、世界の社会・経済は大きな激震の最中にある。日本国内では、21年1月7日、首都圏を中心に2度目となる緊急事態宣言が発令され、2月3日には、3月7日までの延長が決定された。新型コロナを巡る情勢は、本稿執筆時点においても、なお予断を許さない状態にある。そのような未曾有の事態の中にあって、今後の不動産投資市場は、どのような見通しが立てられるであろうか。その問いに向き合うために、まずは、感染症という不測の事態に見舞われた昨年の不動産市場について概観したい。

この点、いわずもがな、昨年の不動産市場は、新型コロナの影響に大きく揺れた。日本の地価は、長くは「バブル経済の崩壊」や2000年代中盤の「ファンドバブル」、08年の「リーマンショック」、11年の「東日本大震災」などを経て、13年から始まる「アベノミクス」により、都心部の商業地を中心に、地価は回復・拡大基調で推移していた。日銀の異次元の金融緩和や観光インバウンドによる訪日外国人の増加等を背景に、地価は「失われた20年」を脱し、上昇気流に乗っていた。そして、20年は、東京五輪の開催があり、その期待が最高潮に達していた。しかし、年明け早々、中国・武漢で発生した新型コロナの日本国内感染がはじめて確認されると、クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス号」の船上隔離開始(20年2月5日)、小中高全国一斉休校の要請(同2月27日)、東京五輪の延期決定(同3月24日)、緊急事態宣言の発令(同4月7日)と急転直下で事態は悪化の一途をたどった。

私達の生活は大きく変化し、社会・経済活動の自粛を余儀なくされた。そして、コロナ禍の自粛は、地価上昇が続いていた都心部を中心に影響を受けることになり、都心部の地価は一転して、下落へと転じることとなった。当研究所が実施した「第159回市街地価格指数調(20年9月末)」においても、全国平均ではおおむね横ばい傾向が続いたが、東京・大阪・名古屋などの大都市を中心とした六大都市(※)では、商業地の地価が下落に転じる結果となっている(図表1)。