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相続多発時代の相続税対策と土地活用の手法とは ~その3~

2021.4.26|業務のプロになる

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いわゆる団塊の世代が後期高齢者になり始める23年(令和5年)、いよいよ本格的な「相続多発」時代に突入しそうです。また、同時に人口が減少する中、22年(令和4年)には18歳成人となり、20年代の前半は今後の10年20年を見据えた様々な法や税などの制度改正が予想されています。新型コロナ禍により新しい生活様式が求められる中、世の中も多様化し、土地活用も変化が求められています。(㈱優益FPオフィス代表取締役・佐藤益弘)

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土地活用を成功させる そのために考えること

そもそも土地活用≒賃貸経営=投資を成功させる大原則は何でしょう? それは、資金繰りを意識しながら、利益の源泉を上げ、太くすることです。利益は収入から費用を引いたものですから、土地活用の場合、賃料を増やすか、必要経費を減らすことができれば良いわけです。逆に失敗とは何でしょうか?いろいろな説明の仕方があると思いますが、「問題が起きたときの対応がまずかった」時の結果が失敗であることに異論は無いでしょう。具体的には、成功の逆…①収入が減るか、②費用が増加することになります。その対処法を得るためには、まず自分自身で「何が問題なのか?」事前に把握しておくことが重要です。

収入が減るケースとして考えられるのが、Ⅰ.空室や家賃滞納されること、Ⅱ.家賃が下落してしまうことでしょう。また、費用が増加するケースとして考えられるのが、Ⅲ.特に建物の老朽化や設備の陳腐化に伴い原状回復や修繕時に想定外の費用がかかること、Ⅳ.金利が上昇することです。また、Ⅴ.入居者とのトラブルなど管理上の問題、避けて通れないⅥ.災害に遭ってしまうリスクも想定せざるを得ないでしょう。

土地活用のメリットは、株など金融商品への投資と違い、長期的な視点&スタンスで対応できることです。だからこそ、経営的な発想&心構えが必要で、明確な目標と方針が必要不可欠です。胆になるのが「ライフプラン」になり、その最終局面が相続になります。

まず、土地活用=賃貸経営を〝行うか?〟〝行わない(辞める)か?〟という事を決める必要があります。仮に行わない、あるいは辞めるという決断をするのであればその可否も含め計画を立てる必要があります。実行しようとする場合、どのような関わり方=スタンスで臨むか?決める必要があります。①しっかり勉強し知識や知恵を得て、プレイヤー(個人経営者)として対応するのか、②スペシャルチームを組織し、マネージャー(現場監督)として対応するか、③資本(所有)を出し、経営はプロに委託するオーナー(資本家)として対応するか、という3通りの関わり方≒スタンスがあります。

例えば、昨今話題になっているサブリースへの認識も①プレイヤー(個人経営者)として対応するのであれば費用が嵩むので「論外」ということになりますが、③オーナー(資本家)として対応するのであれば「当然」という話になり、同じ事象が発生しても評価は真っ向反対になります。つまり、みなさんのお客さまがどのようなスタンスで土地活用を行うのか?確認することが大切です。そうすれば、どのようなケースが「成功」か、「失敗」か、類推することができます。


各種統計から知る 土地活用の現状を確認する

現在、そしてこれからやってくる困難の主な原因は「人口減少(少子)」「高齢化」です。日本の総人口は、10年(平成22年)を境に減少に転じ、本格的な人口減少社会に入っています。

以下の国立社会問題人口問題研究所や総務省の統計データによると、15年から30年までに65歳以上の高齢人口は約369万人増加する一方、15~64歳までの生産年齢人口は約754万人、年少人口は268万人減少する見通しです。人口減少に見合うための人口流入がなければ、家賃収入の源泉である 入居者数が減り続けることになりますから、新型コロナ禍で様々な問題点も露見していますが、外国人労働者の受け入れも促進する施策がとられています。

高齢化の統計は様々ありますが、此処では厚生労働省が定期的に公表している簡易生命表「寿命中位数等生命表上の生存状況」を見てみましょう。この表は端的に申し上げると、その年齢の方が100人中何名くらいの割合で生存しているか?イメージできる表です。年金を貰える65歳までに亡くなる方は男性で10名弱、女性で6名弱とほとんどいません。年金受給から30年/95歳まで生きる方は男性で27名、4人に1人以上、女性で51名、2人に1人以上となり、人生100年時代はもはや「当たり前」の状況です。

実際、19年4月に発表された「住宅土地統計調査(総務省)」を見ると、空き家の現状を垣間見ることができます。空き家率は13・6%と過去最高値を更新しています。空き家の総数は、この20年で約1・5倍(576万戸→849万戸)に増加しており、10年前の数値と比べた賃貸用住宅の空き家率の伸び(1・03倍)はいわゆる実家の空き家であるその他空き家の伸び率(1・29倍)に比べ低いのですが、実数としては431万戸と、依然最も多いカテゴリーになります。

また、世帯所有空き家の約7割が築後40年以上経過した1981年以前の建築つまり旧耐震建物で、10年以内に空き家になったケースが多いようです。空き家を保有している理由の6割が「相続・贈与」で、保有者の年齢も60歳代以上が3/4以上の割合となっていることから土地活用≒賃貸経営は一度始めると、なかなか辞められない息の長い投資になります。

ただ、変化の激しい世の中で、臨機応変に対応できる状況にしておく必要があります。そのためには、ある程度の知識を持ちながら、常にフレッシュで、自分にとって質の高い情報を得る必要があります。繰り返しになりますが、住宅新報などから優良(有料)な情報を得た上で、信頼できる専門家からアドバイスを受けるなどして、適切な対応ができるよう環境を整理しておきましょう。

日本人の人口が減っている状況の中で、10年以降は単身世帯が最も多い類型(総世帯数の1/3)となっており、今後も増加する見通しです。また、かつての標準型(夫婦と子の世帯)が減少していく一方で、ひとり親世帯は増加する見通しです。特に今まで意識的に入居対象として避けていた外国人や(特に単身)高齢者等に向けた対応も求められてきそうです。

また、20年4月以降民法改正により契約関連のルール変更が行われました。このような法や税など制度改正が長い投資期間中に行われることは容易に想定できますし、避けることができません。つまり、状況を受け入れざるを得ない立場になります。自分自身が保有する不動産物件もそもそも投資に向いているか、など確認した上で、自分自身のライフプランに合致した事業計画を立て、土地活用をしていきましょう。

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出展:簡易生命表「寿命中位数等生命表上の生存状況」(厚生労働省:令和元年)より執筆者作成


『住宅新報』2021年2月23日号「資産運用ビジネス特集」より)

その4へ続く