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成長への模索続く賃貸市場 カギは在宅ワーク・高齢化・観光 ~その3~

2021.4.26|業務のプロになる

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20年は新型コロナウイルスの感染拡大と、それに伴う経済や暮らしに対する強い制限の中で、個人や企業が非常に難しい判断や状況を強いられた1年だった。そして、その状況はまだしばらく続くものと見られている。特に、賃貸住宅市場は昨年の着工数が前年に比べ10%超の減少となるなど、大変厳しい市場環境を余儀なくされている。では、その中で資産活用ビジネスの関連事業者達はどのような取り組みを行い、そして今後の展開を模索しているのかまとめた。結論から述べると特効薬になるような手段はなく、コロナ禍に対応した商品の投入や、ポストコロナを含む今後を見据えた事業を推進するなど地道な取り組みが行われており、それをベースとした成長への模索が続くものと見られる。(住生活ジャーナリスト 田中直輝)

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旭化成H シームレスなシニア事業

介護事業者と提携

旭化成ホームズは、高齢者向け住宅事業(シニア事業)についてシームレスな体制構築に向け動いている。健常期~虚弱期についてはシニア層向け賃貸住宅「へーベルヴィレッジ」を供給し、昨年3月末時点で累計69棟(892戸)の管理運営実績がある。

また、要介護期の住まいとして、サ高住の「ヴィラージュリーシュ」シリーズ、有料老人ホーム(サ高住も併設)の「ガーデンテラス」を展開。これらにより、同社の既存顧客を中心とした人々がライフステージの変化により住み替える際に対応、サービスの提供を行えるよう目指している。

昨年3月には、介護施設運営を行うシマダリビングパートナーズと資本業務提携の契約を結んだ。同社は東京都渋谷区に本社があるシマダグループの企業で、都市部を中心に介護施設の運営の実績がある。旭化成ホームズは戸建てから、シニア向け賃貸住宅、サービス付き高齢者住宅(サ高住)、介護付き有料老人ホームの建設を行っており、シマダとの相互の信頼・協力関係の強化を進めることでシニア事業の拡大を目指すとしている。


観光関連事業

積水ハウス 宿泊特化型ホテル

地方創生プロジェクトで

観光関連分野も資産活用ビジネスに関わる事業者達が注目してきた事業だ。訪日観光客の増加により、宿泊施設不足が顕在化しており、そこに賃貸住宅事業などの土地活用ノウハウを活用することで、ビジネスに参入できるからだ。しかし、コロナ禍により、最も大きいと言っていい悪影響を受けている。特に、20年に予定されていた東京五輪が延期を余儀なくされ、期待されていた訪日観光客が4000万人達成という日本政府の予測は雲散霧消した。東京五輪は今年開催される計画だが、その実現性も見通しは明るくない。

ただ、観光関連事業は今後、我が国の経済成長を支えるものであることは間違いない。コロナ禍が収束すれば観光事業の回復、活性化が期待できるからだ。そこで、コロナ禍の現状でも新規に宿泊施設をオープンする事例が見られる。その中で高い話題性があったのが、積水ハウスによる地方創生事業「トリップベース 道の駅プロジェクト」のスタートだ。宿泊施設「フェアフィールド・バイ・マリオット」を昨年10月からの4府県8カ所でオープンさせている。

同ホテルは積水ハウスが建設し、運営を外資系ホテル事業者「マリオット・インターナショナル」が行うもの。国内各地域の交通・観光などの拠点である「道の駅」に隣接するかたちでロードサイド型ホテルを建設、運営するものだ。宿泊は宿泊特化型で、宿泊客は食事などを通じて地域の人たちとの交流を行い、地域の魅力を知ることができるよう仕組みを採り入れているのがユニークだ。様々な専門分野のパートナー企業と、地域の知られざる魅力の発掘や地方での働き方改革、地方人材の育成などを通じて、地方創生の一助となる取り組みを推進するなど、単なる観光振興以上の成果を目指している点も特徴の1つとなっている。

昨年7月時点で25道府県の自治体、34社のパートナー企業と連携しており、25年には25道府県にて約3000室規模への拡大を目指すとしている。今後は、コロナ禍で注目されているミニマムツーリズム(近場での旅行)や、ワーケーションの普及など旅行スタイルの多様化も視野に入れ、一層のパートナーシップ拡大も検討しているという。