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堅調を維持する中古住宅市場 回顧と21年の展望 ~その2~

2021.4.26|業界の知識を深める

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20年の首都圏(東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県)中古住宅流通市場は全体的に堅調である。中古マンション市場において、東日本不動産流通機構に登録された物件の売買にかかる成約戸数は3万5825戸であり、19年の過去最高水準より減少したものの、依然として高い水準となっており、平均成約価格も高止まり傾向にある。また、中古戸建て住宅については、成約棟数は1万3348戸と過去高水準となり、平均成約価格も安定的に推移している。ここでは20年の市場を振り返ると共に、中古住宅流通市場の特徴についても言及しながら21年を展望する。(一般財団法人日本不動産研究所 曹雲珍)

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新規登録と在庫が減少 市場滞留期間の増長

首都圏中古マンションの新規登録戸数と新規登録単価の推移(図5)をみると、15年に入ってから中古マンション価格の上昇傾向が加速するにつれ、新規登録戸数と新規登録単価はともに増加・上昇した。新規登録戸数は、18年には20万6901戸で過去最高水準を更新し、初めて20万戸を超え、19年(20万4891戸)には前年より減少したものの、依然として20万戸台を維持した。

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19年9月以降、新築登録戸数は前年同期比で減少傾向が続いている中、20年に入っての新型コロナウイルスの感染拡大の影響により、新規登録戸数の減少は加速し、同年の新規登録戸数は18万1750戸となり、前年比2万3141戸減と大幅に減少した。一方で、新規登録価格は上昇傾向が続いており、20年には57・79万円/㎡と過去最高水準となった。

首都圏中古マンションの在庫戸数をみると、19年12月から減少傾向が続いており、20年には3万8173戸で、前年より8878戸も減少し、4年ぶりに3万戸台に落ちた。また、市場滞留期間(登録から成約までに至る日数)は17年以降は増加傾向にあり、19年には80日台に達した。

これに加えて、20年にはコロナウイルスの感染拡大の影響により、市場滞留期間が更に長期化して88・3日となり、近年の最高水準となった(表1)。

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住宅ニーズの変化

20年9月の本紙不動産流通特集で述べた通り、近年共働き世帯が増えており、住宅を選ぶ際に交通利便性や生活利便性を一層重視するようになっている。新築と中古のマンション市場ともにこのような傾向で推移してきたが、新型コロナウイルスの感染拡大以降、在宅勤務の拡大によって、在宅時間が長くなり、出社頻度が減少したため、自然環境や住宅の広さといった暮らしやすさを求める傾向が強まっている。市場関係者へのヒアリングでも、新型コロナウイルス感染拡大以降、同じ価格帯の物件でも通勤の利便性よりも自然環境や広さを重視する消費者が増えていることがうかがえた。

また、在宅勤務が普及・拡大することに伴い、新築マンションでは専有部分で仕事ができる空間を作るというものだけでなく、共用部分にワークスペースを設ける物件が出てきている。ニューノーマル時代に向けての生活スタイルの変化に伴い、これまで都心・駅近に偏っていた住宅に対するニーズが多様化しつつあるともいえる。

『住宅新報』2021年2月9日号「不動産流通特集」より)

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