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改正宅建業法施行で「書面の電子化」可能に 不動産取引のデジタル化が加速

2022.8.16|業界の知識を深める

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今年5月18日、改正宅建業法が施行された。

これにより、宅地建物取引士の押印廃止、重要事項説明書等の電磁的方法による提供、すなわち「書面の電子化」が可能となった。既に本格運用が始まっている賃貸・売買取引のIT重説と併せ、不動産取引のデジタル化が解禁。不動産流通の活性化を後押しする新風への期待が高まっている。本特集では、これまでの検討経緯と対応の要点などを紹介する。

賃貸・売買・媒介の契約締結時交付書面および重要事項説明書等について電磁的交付を可能とする宅建業法の関連規定の改正を含むデジタル改革関連法が21年5月に成立、公布された。1年以内の施行とする同法の定めにより、22年5月18日に改正宅建業法が施行された。
主な改正点は、①重要事項説明書(35条書面)、②契約締結時書面(37条書面)、③媒介契約締結時書面(34条の2書面)の交付・押印に関するもの。①②の押印を廃止すると共に、①~③の書面交付についても、相手方の承諾を得た上で、電磁的方法で行うことができるようになった。
契約締結までの時間短縮、ペーパーレス、書面保管の利便性向上など、宅建業者、消費者双方にとって効率的な契約締結が可能となり、今後は事業者側における働き方の工夫や業務フローの見直しなどが期待される。
国土交通省ではこれまでも不動産取引におけるIT活用の可能性を探るため、有識者検討会を設置し、様々な社会実験を実施してきた。その結果、IT重説については、賃貸取引は17年10月1日、売買取引では21年3月30日からそれぞれ本格運用を開始。また、「書面の電子化」については、賃貸取引では19年10月1日から社会実験を開始。売買取引については21年3月10日から社会実験を開始してきた。
今年2月14日には、第8回「ITを活用した重要事項説明に係る社会実験に関する検証検討会」(座長・中川雅之日本大学経済学部教授)が開催され、電子書面交付に係る社会実験の実施結果が報告された(左図参照)。これは宅地建物取引士および説明の相手方を対象に、賃貸、売買取引における実施件数や方法、トラブル発生状況などを調査するためのもの。同社会実験では従来のIT重説をベースに、IT重説実施前の「重説等の電子書面交付」、実施中の「電子書面交付されたファイルの確認」などの項目が追加される形となった。電子書面の作成や、受領した電子書面が改変されていないことの確認方法などが注目された。