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コロナ禍の今こそ、不動産資格取得へ

2021.4.26|資格取得

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ビジネス拡大の〝武器〟を増やす

新型コロナの勢いが収まらない。首都圏では2度目の緊急事態宣言を受け、テレワークや時差出勤の更なる推進など、働き方も大きな変化の時を迎えている。経済の先行きも不透明な中で、注目されるのが資格の取得だ。通勤等が減ったことによってできた時間で資格を取得し、仕事の幅を広げるチャンスとしたい。不動産関連の資格には民間資格も多数あり、比較的取得しやすくなっている。資格の受験指導をしているスクールに話を聞いた。(住宅ジャーナリスト 殿木 真美子)

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取得しても〝人生安泰〟ではない 資格の上手な生かし方とは?

不動産関連資格の一丁目一番地といえばやはり「宅地建物取引士(以下、宅建士)」だろう。昨年の宅建試験は、新型コロナの影響で10月と12月の2回に分けて行われるという異例の事態で、受験者数は多少減ったものの、それでも25万人以上が挑戦し、相変わらずの人気資格となっている。

「宅建の資格に挑戦する人の33%が不動産関係者。逆に言えば、それ以外は不動産業に従事する人ではありません。銀行や証券会社など金融関係にお勤めの人、また土地を持っている人や不動産を運用している人など、受験者の属性は多岐にわたっています」と言うのは、大原簿記で宅建講座を担当する吉岡渡さん。特に金融関係者は株式の取り扱い業務等のIT化が進み、信託業務の重要度が増していることから宅建士の取得を目指す人が増えているという。

ただし、「資格を取ったことで〝人生安泰〟とは言えない」と言う人もいる。宅建士以外にも資格講座を数多く取り扱っているLEC(東京リーガルマインド)の唐沢隆弘さんだ。「例えば行政書士や宅建士で、最難関といわれる弁護士資格を取った人よりはるかに稼いでいる人もいます。資格保有者として、取得後の努力が欠かせない。〝資格の生かし方〟というものがあるわけです」。

では、どうすれば資格を生かせるのだろうか。

「宅建士を取った後、FPの資格に挑戦する人が多い」と言うのは、日建学院の杉原隆史さん。「住宅の営業をしている人は、金融や資産運用の知識があった方がいい。ライフプランの提案ができれば、営業成績が上がりやすいのです」。


顧客信頼度を高める

不動産とひと口に言ってもその内容は細分化しており、それぞれの分野で専門性が必要とされる。民間資格をひとつ取ることは、1人の実務者としてその分野における専門性を身につけること。専門知識を提供することができるようになるため、顧客からの信頼度が格段にアップすることは間違いない。既に不動産業に従事している人が、資格をフックにして仲介の業務を増やしていく、業務範囲を広げていくのに、民間資格の取得は有効な手段といえる。

例えば、競売の知識を学ぶため競売不動産取扱主任者の資格を取ったことで、他社との差別化ができ仲介件数が拡大したと言っていた不動産業者がいた。もちろん、取り扱う商品や業務形態、その土地ならではの事情などもあるので、現在の自身の業務により身近で役に立ちそうな資格を狙う必要はあるが、民間資格を取得することは、そのまま「手駒を増やす」ことにつながるのだ。そう考えると、民間資格を取得する意義ははっきりしてくる。


ビジネス現場での効用

仕事の幅が広がる

顧客に自信をもってより多くの選択肢を提示することができる

顧客からの信頼度が増す

専門化した知識を身につけることで、強みになる

資格手当などが見込める

就職、転職、独立に役立つ


比較的取得しやすい民間資格 ビジネススキルを上げる効果も

不動産関連の民間資格には、どのような特徴があるのだろうか。LECの唐沢さんは言う。「各々の専門分野に特化した社団法人等が実施しているのが民間資格。受験に対しての要件がない場合が多く、合格率が15%前後の宅建士などと違い、資格保持者を増やしたいため合格率も70~80%と、比較的取りやすいのが大きな特徴です」。

また、昨今不動産分野の紛争が増加していることを踏まえて、本来ならば弁護士しか介入できない法的なトラブルについて調停人として解決に向けたサポートをする「ADR調停人」など、最新のニーズに即した内容であることも特徴的だ。

では、資格取得のためにスクールを利用するメリットはあるのだろうか。

「スクールでは、受験日までの期間で合格ラインの点数を確実に取るノウハウを提供しています。スクールはお金や時間がもったいないと思う人もいるかもしれませんが、かえって最も効率がいい勉強方法だと思いますよ」とは日建学院の杉原さん。出席率と合格率は見事なまでに比例し、カリキュラムに沿って素直にコツコツと勉強を進める人が合格をつかみやすいと分析している。一度スクールを利用して勉強の習慣を身につけたら、その後は独学のクセが身につく人も多いと、大原簿記の吉岡さんも言う。

また、意外な指摘もある。「資格取得のための勉強をすることは、ビジネススキルを上げることにも役立つ」というものだ。

「期日までに合格点を確実に取るためのスキルを身につけるのが資格の勉強。仕事でも、100点を目指すあまり顧客を待たせることはできないので、顧客が求めているものを納期内に合格点に持っていく必要があり、それがビジネスの成功につながります。資格の勉強をしていると自然とそういう頭になっていくのです」と唐沢さんは言う。

大原簿記の吉岡さんも、「数ある情報の中から必要なものを取り出す情報の整理能力、スケジューリング、段取りの仕方など、資格の勉強からビジネスに生かせるスキルはたくさんあります。面白い例では、講師の話し方をプレゼンの時に参考にした、と言う人もいました」と言う。大原簿記では、より相手に伝わりやすい話し方を身につけるため、講師は研修などを受けて日々スキルアップに余念がないそうだ。聞き手を引き込むプレゼン能力、分かりやすい文章や資料を作成するスキルなど、講師の教え方からヒントを得ることもできるというわけだ。

何をやっていいのか分からないという人は、取りかかりやすい資格から始めて少しずつ広げていくのもいいだろう。そのうちにどうすれば合格するかコツがつかめてくるはずだ。


人生変える転機にも

また、杉原さんはコロナ禍で資格を取得する意義についてこんな話を教えてくれた。「子どもを引き取って離婚をした女性がいたのです。慌てて就活をしたもののどこもダメだったので、背水の陣で宅建士の資格を取得したら無事就職。今では女手一つで仕事と子育てをしっかり両立されています。そんな風に、資格を取って人生が変わった人を私は何人も見てきました」。

資格や免許はコロナ禍に強い。先行きが不透明な経済状況では、資格が武器になる。テレワーク中心になって自由時間が増えた今こそ、資格取得を考える時だ。思い立った時に受けやすい民間資格にチャレンジしてみてはいかがだろうか。


受験勉強に臨むことで

時間の使い方が上手になる

スケジュールを立ててコツコツと進められるようになる

諦めないメンタルが手に入る

講師の話し方を参考にプレゼン能力が身につく

情報の整理能力が身につく

独学で知識を広げるクセが身につく


『住宅新報』2021年1月26日号「キャリアに役立つ資格特集」より)

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