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加速するZEH普及≪住宅政策特集≫

2022.5.31|業界の知識を深める

  • ZEH
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大手主要メーカー 高い性能・技術を基に


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ZEH(ネット・ゼロ・エネルギーハウス)は使用するエネルギー量とつくるエネルギー量の収支が正味でおおむねゼロ以下になる住宅だ。高断熱化された躯体、太陽光発電システム(PV)などの創エネにより実現し、環境配慮、健康への好影響、経済性の面から推進されてきた。政府が昨年10月に閣議決定した第6次エネルギー基本計画では、省エネルギー性を踏まえ、30年度以降に新築される住宅でZEH水準の確保が求められている。大手主要ハウスメーカーは住宅業界の中でも高いZEH普及率を誇り、その取り組みに改めて関心が集まる。


新築戸建てのZEH化において、大手ハウスメーカーは業界全体の平均よりも普及率ははるかに高い。そして、その普及率は年々高まっている(表参照)。
元来、大手ハウスメーカーが手掛ける住宅は業界の中でも性能は高い。ZEHに関する主な特徴や取り組みでは、旭化成ホームズは省エネ性・断熱性を 高めた「ヘーベルシェルタードダブル断熱構法」を標準仕様化。都市部の狭小地における太陽光発電パネルの設置面積確保のために、発電効率の高い太陽光発電パネルを導入している。
パナソニックホームズは基礎の内側にも高性能断熱材を用いた「家まるごと断熱」を使用。年間を通して温度変化の少ない地熱を有効活用ができ、冷暖房負荷を低減する。
三井ホームは一般的な枠組み壁構法を進化させた高気密・高断熱の「プレミアム・モノコック」構法を使用。屋根部分に構造用断熱パネル「ダブルシールドパネル」を採用する。
大和ハウス工業は注文住宅を標準仕様でZEHに対応可能とした。分譲住宅ではニアリーZEHを標準仕様とする方針を打ち出している。
また、大手ハウスメーカーの中でも高いZEH普及率を示す積水ハウス、積水化学工業住宅カンパニー、LCCM(ライフ・カーボン・サイクルマイナス)住宅への動きを見せるミサワホーム、住友林業など環境配慮への動きは活発化している。


高水準の普及率


大手ハウスメーカーは住宅業界の中でも高いZEH普及率を誇る。その中でも積水ハウスと積水化学工業住宅カンパニーはトップクラスだ。


業界に先駆けて


積水ハウスは2020年度の新築戸建て住宅におけるZEH比率は91%(北海道除く)。2007年に「グリーンファースト」、2013年に「グリーンファーストゼロ」を投入するなど、業界に先駆けてCO2削減効果の高い商品を投入してきた。住宅は省エネのためではなく、快適さや幸せのためにあるという認識で、屋根材と太陽電池モジュールの一体化、大開口・大空間といったデザイン性・快適感がZEH比率の向上に寄与する。同社は戸建てに加えて、ZEH賃貸、分譲マンションのZEH化にも積極的であり、業界のリーディングカンパニーとしての矜持を見せる。
住宅の断熱性について、3月11日の経営説明会で仲井嘉浩社長は「ゼロカーボンを標榜する日本においても、まだ世界に後れを取っている。最低限、ZEHレベルの断熱基準を日本の標準にしていかなければいけない」と述べた。4月から住宅性能表示制度で新設されるZEH水準の「断熱等性能等級5」「一次エネルギー消費量等級6」を戸建て・賃貸住宅で標準仕様とすることを発表。政府が第6次エネルギー基本計画で掲げた目標にいち早く対応する。


エネルギー自給自足を軸に


積水化学工業住宅カンパニーはエネルギー自給自足を軸にZEHを展開する。2020年度のZEH比率は85%であり、そのうち最も環境貢献度が高いZEH(年間の一次エネルギー消費量が正味ゼロあるいはマイナス)が92.5%と比率が高い。
エネルギー自給自足型住宅のために、PVと蓄電池の搭載を提案してきた。2021年10月には戸建て商品「『新スマートパワーステーションFR GREENMODEL』(新グリーンモデル)」を投入。大容量PV、新開発の大容量蓄電池を搭載する同商品は従来のモデルよりもエネルギー自給自足率を向上させた。当初の予想よりも売れ行きは好調という。
2022年2月度の戸建ての単月受注では、PVの搭載率(北海道除く)、蓄電池の搭載率(北海道含む全国)は過去最高を更新しており、更なるZEH普及が期待される。