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人とペットが共に快適、安心して暮らせる住宅への関心高まる ~その3~

2021.4.26|業界の知識を深める

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ペットは〝家族〟の時代
室内飼育は8割、室内環境の重要性高まる

生活に癒しや安らぎを与えてくれる存在のペットは、少子高齢化が進む中において家族の一員として位置付けられるようになった。室内飼育も8割に上り、人とペットが共に、快適かつ安心して暮らせる住宅への関心が高まっている。一方で、集合住宅での飼育の増加や災害時の同行避難などから、地域社会との関わり方を考える必要も出てきている。(ライター 玉城麻子)

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ペットも熱中症に。不在時対応が大切

近年の猛暑で、重視され始めているのが室内環境の問題。人の場合でも、真夏の熱中症対策として日中だけでなく、夜間でもエアコンを常時運転しておくべきと指摘されているが、犬や猫も全身に毛があり、発汗による体温調整ができないため、熱中症にかかる。

室内飼育が8割前後になっている現状を考えると、真夏にはエアコンを常時運転して室内を涼しくしておく必要がある。ペット保険を手掛けるアニコム損害保険によると、熱中症による保険金請求件数(犬の場合)が多い月は7~8月だが、気温が急に上がり始める4~5月も油断できないという。特にゴールデンウィーク期間は外出が増えるため、「十分に注意する必要がある」と指摘する。

ただ、ペットが室内で暮らす上での適温については、把握している飼い主は少ないようだ。ダイキン工業の調査(第19回現代人の空気感調査)によると、8割以上が「適温を知らない」と回答し、「知っている」と回答した人でも5割が「夏場は25度以下が適温」と、やや低めの温度をイメージしていることがわかった。犬種などによって異なるものの、夏場は25~28度、冬場は20~23度が目安で、特に夏場は温度に加え湿度も50~60%にコントロールすることが重要だとしている。また同調査では、8割弱が日中の不在時に何らかの暑さ対策をしており、そのうち3割が「エアコンをつけたまま外出する」と回答するなど、夏については節電よりもペットに対する気遣いが働くことが現れた結果となった。


見守りカメラが人気

室内飼育が主流になり、またペットの健康管理の意識が高まっていることなどを背景に、職場や外出先からペットの様子を見ることができる「見守りカメラ」の人気が出ている。家電メーカーのパナソニック、ネットワーク機器を手掛けるアイ・オー・データ機器やプラネックスなどから販売されており、1万~2万円台と購入しやすい価格帯が増えてきた。

機能面では、スマートフォンと連動させ映像が確認できるとともに、動き回るペットを追える首振り機能付きのカメラや、スピーカーやマイクが付いている機種であれば呼びかけも可能。他にも、アプリ操作でレーザーポインターを照射しながらペットと遊べたり、給餌機能付きやおやつをあげる機能が付いていたりと、見守り機能以外の機能が搭載されている機種も登場している。更に、エアコンやテレビなど家電のリモコンを集約しスマホで操作できる「スマートリモコン」と連動させれば、ペットの様子を確認しながらエアコンの温度調整もできるようになる。IoT住宅やスマートホームが増えていけば、こういったIoT機器も導入しやすくなるだろう。


災害時にどうすれば? 日頃からの準備が大切

さて、近年多発する台風やゲリラ豪雨などによって大規模水害が発生し、その被害も広範囲にわたることが増えている。こうした自然災害が発生したとき、環境省や自治体ではペットと一緒に「同行避難」することを原則としている。

11年3月に発生した東日本大震災では、緊急避難を余儀なくされたため、ペットが自宅に取り残されたり、飼い主とはぐれて行き場をなくしたペットが街中を放浪したりする事態が多く発生。また一緒に避難した場合でも、避難所での対応がまちまちで、周りを気にして車中避難した結果、体調を崩すなど、対応に苦慮する事例が多かったという。

こうした事態を受け、環境省では13年6月に「災害時におけるペットの救護対策ガイドライン」を策定し、飼い主の責任によるペットとの同行避難を基本に、各自治体がそれぞれの状況に応じた独自の災害対策マニュアルや動物救護体制を検討する際の参考にしてもらうよう、周知を図った。その後発生した16年4月の熊本地震では、ペットとの同行避難が実施され、また多くの自治体でガイドラインが活用されたが、避難所での受け入れ態勢が間に合わなかったり、一時預かり体制が整備できなかったりと、広域的な支援体制の課題も浮き彫りに。それらを踏まえ、同省では17年度に「人とペットの災害対策ガイドライン」を作成し、ペットをめぐるトラブルを最小限にとどめ、人とペットが共に災害を乗り越えられるような支援体制の構築に向けた指導に取り組んでいる。


飼い主の「自助」が基本

実際にどういったペットのための防災対策が行われているのか――。アイペット損害保険が17年に実施した「ペットのための防災対策に関する調査」によると、ペットを飼っている人の56・9%が何らかの対策を講じているが、飼っているペットが犬と猫では対策内容が異なっている。犬の場合は「待て」「お座り」など基本的なしつけができていることを挙げた回答が43・4%と最も多く、猫の場合は59・8%が「特に対策を講じていない」としつつも、「クレートやケージに入ることに慣れさせている」「ペット用の防災グッズをそろえている」(共に17・2%)などの対策は講じていることがわかる。

一方、「同行避難」の理解度は6割程度で、環境省が同避難形態を推奨していることへの認知度は3割未満にとどまる。更に、最寄りの避難所でペットと一緒に過ごせるかどうかについては、65%がわからないと回答している。

災害時のペット対応は、飼い主による「自助」が基本となる。ペットとの同行避難は、ペットを守るための第一歩だが、ペット対応は各自治体・避難所に委ねられており、避難所に行けば誰かが助けてくれるのではなく、また人と同じ場所で避難生活が送れるという意味でもない。ペットと一緒に避難する際にはケージに入れて運び、避難所にペット飼育スペースが設置されていればケージに入れて世話をすることになる。そのため、鳴き声や日頃からケージに慣れさせるといったしつけ、エサやトイレの準備など、「自助」によるペットの災害対策を講じておくことが大切。最近では、町会や地域の防災訓練で、ペットとの同行避難訓練なども行っているので、顔を出してみると参考になるだろう(写真4)。