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人とペットが共に快適、安心して暮らせる住宅への関心高まる ~その2~

2021.4.26|業界の知識を深める

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ペットは〝家族〟の時代

室内飼育は8割、室内環境の重要性高まる

生活に癒しや安らぎを与えてくれる存在のペットは、少子高齢化が進む中において家族の一員として位置付けられるようになった。室内飼育も8割に上り、人とペットが共に、快適かつ安心して暮らせる住宅への関心が高まっている。一方で、集合住宅での飼育の増加や災害時の同行避難などから、地域社会との関わり方を考える必要も出てきている。(ライター 玉城麻子)

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飼育の阻害要因は住環境問題

一般社団法人ペットフード協会の19年「全国犬猫飼育実態調査」で、全国の犬の飼育世帯数は715万2000世帯(全体の12・55%)で879万7000頭、同様に、猫は552万4000世帯(同9・69%)で977万8000頭となった。

過去5年間の傾向では犬の飼育頭数は減少傾向、猫は緩やかな増加傾向にあり、3年連続で猫の飼育頭数が犬を上回った。年代別でみても犬の飼育率は減少傾向にあり、最も飼育率が低下していたのは50代で、15年比で3・3%減少。今後の飼育意向では、犬は20・5%、猫は15・5%が「飼いたい」と回答しているが、犬については低下率が高く(15年比2~5%減)、50代が5・1%減と最も落ち込んでいる。

ペットの飼育場所については、犬の場合は「散歩・外出以外は室内」が57・4%と半数以上を占めており、5年前と比べて17・8ポイント上昇。「室内のみ」(29・4%)と合わせると86・8%(15年は合計83・7%)と、室内飼育の割合が徐々に高まってきていることがわかる。猫の場合は「室内のみ」が75・6%(15年69・8%、18年78・3%)と、室内飼育がベースとなっている。

また、非飼育者で飼育意向のある人に「(ペットが飼えない)阻害要因」を聞いたところ、犬の場合は、「旅行など長期の外出がしづらくなる」が25・4%、「別れがつらい」23・6%、「集合住宅に住んでいて禁止されている」23・0%と、上位理由はどれも同程度の割合を占めているが、「現在飼育していない最大の理由」では、「集合住宅に住んでいて禁止されている」が19・1%と最も多い結果だった。

一方、猫の場合は、「集合住宅に住んでいて禁止されている」が32・7%と最も多く(飼育していない最大理由のトップも27・2%)、「旅行など長期の外出がしづらくなる」22・1%と比べると10ポイントも差が生じた(図表1)。

これらの調査結果から同協会では、「室内飼育が進む中、『集合住宅での飼育が禁止』されている住環境問題が大きな飼育阻害要因となっている」と指摘している。最近では、「ペット飼育可」とするマンションやアパートも増えつつあるが、飼育に関するルールや他の住民への配慮が欠かせないこともあり、戸建住宅と比べるとハードルが高い。「ペットを飼いたい」と思っている人が飼えるような環境の整備や、サービスの向上が欠かせないといえる。

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図表1 ペット飼育の阻害要因/犬(㊤図)・猫

出典:一般社団法人ペットフード協会「2019年全国犬猫飼育実態調査」


住宅メーカーも〝ペット共生住宅〟を提案

ペットを飼うときの住宅設備については、ペットゲートやリードフック、ドアノブ対策といった安全面、勾配が緩やかな階段や滑らない床といった健康面、トイレスペースやペット用シャンプー台などの衛生面、遮音性能を有する壁・床材、キャットタワーやペット用スペースなどの快適性、ペット臭や室内空気質環境など、ペットと飼育する家族との良好な関係を築くためにも欠かせない対応となる。また、人間よりも寿命が短いため、ペットの高齢化にも配慮する必要もあるだろう(写真2・3)。

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写真2(㊧):犬にとって、直階段は体への負担が大きい

写真3:猫が自由に歩き回れるよう設置されたキャットドア


住宅メーカー各社も、こういったさまざまな対応に配慮した提案を行ってきている。

例えば、旭化成ホームズでは、98年にペット研究会を発足しペットと暮らす住宅の研究をスタートした。2000年にペット共生住宅「プラスわん・プラスにゃん」、03年には同ブランドをリニューアルし、家族から「社会の一員」との位置づけによる家づくりとして、犬では「来訪者配慮型ペット共生住宅」、猫では「家ネコ支援型ペット共生住宅」を提案。11年には、ペットの高齢化や室内飼育が増えている現状を踏まえ、ペット共生型賃貸住宅商品「ヘーベルメゾン プラスわん・プラスにゃん」のリニューアルに合わせて、人間もペットも心地よい環境・健康に過ごせる家の提案と、「ひともペットも自然の一員」との概念を示した。

18年10月、同社は公益社団法人日本愛玩動物協会が掲げる「ペットフレンドリーホーム宣言」に参画した。

これは、ペットの適正飼養普及啓発に取り組んできた同協会が、公益社団法人日本獣医師会の協力を得て、18年から実施している「ペット共生マンションの適正化推進プロジェクト」の一環として、ペット共生住宅の実現を目指して、住宅事業者などに呼びかけている「行動」の1つ。同社では20年に及び取り組んできた研究と、それに基づくペット共生型の戸建住宅から集合住宅の提案を、更に推し進めていくことを目指している。

積水ハウスのペットと暮らす戸建て住宅プラン「ディア・ワン」は、ペットと人間の双方の視点からバランスポイントを見つけ、空間や装置を考える「Side×Side」の発想を重視したプランを提案。大和ハウス工業も、ペットも人生を共に歩むパートナーと位置づけて、習性や行動をきちんと理解した上で、動線や空間づくりに取り組んでいる。

また、パナソニックホームズは、「人とペットの〝いい関係〟」を家づくりの観点から考え、公益社団法人日本動物病院協会の監修による住まい提案を行っている。人の暮らしを大切にしながらペットの行動や安全性を考慮するために、ペットの自由な往来、同伴可能、ペットNGの3つのゾーニングをベースに間取りを考えている。また、完成後のサポート体制として、オーナーに向けた情報発信や相談受付、ペット保険の案内、ペット用品の販売なども行っている。

『住宅新報』2020年10月6日号「住生活月間特集」より)

その3へ続く