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『不動産・困ったときの知恵袋』〔第6回〕契約不適合責任の対応で仲介業者がまず行うべきことは?

2021.12.17|業務のプロになる

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〈不動産取引に関するお役立ち情報コーナー〉

契約不適合責任の対応で仲介業者がまず行うべきことは?


困りごとの内容


取引した売買物件に「隠れた瑕疵」があったときの売主の責任の有無は、2020年4月1日以降はすべて売主に「契約不適合責任」があるか否かで判断されることになりました。


取引における当事者の言い分は次のようなものなのですが、仲介業者としてどのように対応してよいかわからず困っています。


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買主の言い分

地中に産業廃棄物が入っているので、これでは地盤がゆるく建物が建てられない。契約不適合なので契約を解除する。
よって、支払った売買代金を返してもらいたい。

売主の言い分

そもそも、そのような産業廃棄物が入っていることなど全く知らずに買った土地なので、自分には責任はない。
契約の解除には応じられない。


解決のための知恵

仲介業者の対応としてまず最初にやるべきことは、その事案に対し、仲介の過程で仲介業者としてやるべきことをやってきたかということの検証です。

それは、端的に申し上げれば、仲介業者としての注意義務(調査説明義務)を果たしてきたかということの確認です。

現場においてその土地を「宅地」(建物を建てる目的で取引する土地)として売るためには

・土地が整備されていない
・表土に小石やコンクリート片が多い
・地表から異臭がする

などを確認する必要があります。


そのほか、近隣住民からの聞き取りによって「埋め立ての事実があったのかどうかの確認調査」を行ったり、その土地の前所有者が建設会社などの場合には「取得・転売の目的や経緯」などの聞き取り調査を行う必要があります。

その上で、その土地についての重要な契約内容である「売買代金」をどのように定めたのかを再確認することです。

したがって、現場において先程申し上げたような事実確認や聞き取り調査を行った結果、土地の整備もなされており、特に宅地としての異状もなかったので、「通常の宅地」としての評価で取引をしたとすれば、仲介業者としての対応に落ち度はなく、責任はありません。


あとは、本件の「隠れた瑕疵」である産業廃棄物の混入問題を売主と買主がどのように考えるかということになります。


産業廃棄物が土地のかなりの部分に混入しているということであれば契約の解除ということも認められるケースがあります。

しかし、産業廃棄物混入の範囲が限られた部分だけのものであれば、その部分だけの地盤改良ということで建物の建築は可能になるのが一般的です。


つまり、その瑕疵のある部分の追完(民法562条)とそれに付随する所要の損害を賠償(民法564条)することによって、売主の契約不適合責任としての決着は付くことになります。


売主は買主への賠償額を元の売主に求償できます。

一般に、産業廃棄物の存在は「瑕疵」とされていますので(東京地判平成14年9月27日ほか)、今回の売主は、買主に対し瑕疵のある土地を通常の価額で売却したことになります。

したがって売主としては、その結果買主が被った地盤改良費等の損害を賠償した上で、その支払った賠償額を元の売主に対し求償していくことになります。


この場合、売主と元の売主との土地売買契約が2020年3月31日以前に締結されたものであれば、売主は、その元の売主に対して旧民法570条の規定に基づく瑕疵担保責任を追及していくことになるります。

その場合、元の売主はその土地の中に産業廃棄物が混入していることを知っている可能性がありますので、元の売主と今の売主との間で「瑕疵担保責任を負わない旨の特約」をしていたとしても、旧民法572条(現民法も同じ)の規定によって、産業廃棄物の存在を「知りながら買主に告げなかった事実」として責任追及をしていくことができます。

もちろん、この場合には、元の売主が瑕疵担保責任の期間を短縮していたり、責任の範囲を限定していたとしても、その特約は無効になりますので、責任を免れることはできません(同572条)


瑕疵担保責任についてはファイナンシャルプランナーの試験問題として問われます。
不動産業界でもFPの需要がますます高まっています。

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