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コロナ禍で変化する不動産仲介現場

2021.12.1|業界の知識を深める

  • DX
  • 脱炭素化
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DX化競争へシフト

コロナ禍で、不動産仲介の現場ではDX化が急速に進んでいる。問い合わせから成約まで会うことなく成約に至るケースも散見するようになった。今後は、仲介業務のみならず、賃貸管理や相続の現場でのオンライン対応が必須になるとの声も上がる。不動産仲介の顧客への新たなサービスとしてデジタルの活用は定着しており、従来の多店舗展開からDX化の競争へとシフトしつつある。(ハローニュース・鈴木規文)


海外からオンラインで完結 最速30分で成約するケースも

新型コロナウイルスの感染拡大とほぼ同時期に賃貸仲介業をスタートさせたエルシーズ(東京都渋谷区)は、オンラインでの予約制接客に力を入れている。

以前からテレワークの実施やオンライン内見、顧客の都合の良い場所での重要事項説明、郵送での鍵の受け渡しなど、ケースバイケースで対応を行ってきた。感染の広がりを受け、すべての接客をオンライン上で完結できる対応が必要だと実感し、オンライン中心の接客に切り替えた。こうした接客スタイルを許容する管理会社が増えたことも後押しした。

今年初めには、ファミリー向け賃貸物件を探しているというアメリカ在住の顧客から、インターネットを通じて反響があった。まずはメールでやりとりを行い、その後オンラインで6件、内見案内をした。結果、問い合わせから鍵渡しまでの間、一度も顧客と会うことはなく成約に至ったという。重要事項説明については、IT重説を活用しネット上で行った。

コロナ禍でオンライン接客を実施する会社は増えてはいたが、顧客からは「不動産業界でこういうことに取り組んでいる会社は珍しい」と喜ばれたという。

渡邉圭太社長は、「今後、こうした対応が当たり前になると思う。いずれは仲介だけでなく管理や相続の現場においても、オーナーからの相談に対して常設のオンライン店舗で対応できるようしたい」と語る。


問い合わせ件数も増加

愛媛県を中心に管理戸数1万4000戸の日本エイジェント(愛媛県松山市)もいち早くコロナ禍に対応した接客サービスを行ってきた。

同社は昨年4月に外出自粛ムードが広がった際、いち早くオンライン接客に特化した無店舗型の仲介チームを発足させた。これにより、店舗に顧客を誘導することなく、問い合わせや接客、内見、契約などすべての接客業務をオンライン上で完結できるようにした。

すると、非対面接客を望む顧客からの満足度だけでなく、問い合わせ対応件数も同時期の店舗平均に比べて170%ほど向上したという。これまでは問い合わせから申し込みまで1カ月ほどかかっていたものが、すべてWeb上で対応することにより、早ければ30分ほどで契約まで可能となった。このため、対応できる件数が増えたと分析する。

また、店舗平均と比べて15%ほど低かった成約率は、スタッフの適性を生かしたチーム作りと、オンライン上で共有された顧客情報の活用により、38%から53%まで引き上げることに成功。無店舗型の仲介チームは発足9カ月で、売り上げナンバーワンになった。

同社の前社長、乃万恭一さんは「コロナにより時代は変わった。社員数や店舗数の拡大競争から、DX化の競争へシフトしているという認識を持っているかが重要。そもそもコロナ禍で余儀なくされた業務のオンライン化は、コロナ前にも推進してきた企業はたくさんあり、なるべくしてなった流れだと思う」と語った。

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仲介チームによるオンライン接客の様子(日本エイジェント)

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オンライン内見は専門スタッフがサポート(日本エイジェント)


新しい生活様式に対応

コロナ禍で顧客が部屋探しをする際、より感染リスクの低い方法を選択する動きがあり、SUUMOなどのポータルサイト上には、「オンライン接客可能」「オンライン内見対応物件」などのワードが増えている。

いち早く新しい生活様式に当てはまる接客方法を取り入れることが重要だ。

『住宅新報』2021年8月3・10日号より)

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