記事

準備をする

『不動産・困ったときの知恵袋』〔第3回〕隣地との共同下水管が!

NEW 2021.12.2|業務のプロになる

  • 専門知識
  • 今さら聞けない
記事イメージ

ビル解体条件付土地売買での埋設管の存在は媒介業者の責任?


困りごとの内容

質問:

先日、あるベテラン社員から、2年前に媒介したいわゆる法人間売買での建物(ビル)解体条件付土地売買で引渡した土地について、買主から「地中に隣地との共同下水管が埋設されたままになっている」との苦情が持ち込まれたという報告がありました。

そこで、すぐに当時の売主に連絡をとり現地に行ったところ、確かに境界線上に共同下水管が埋設されており、今でも隣地のビル所有者が利用しているとの確認がとれました。

このような場合、建物の解体時に下水管の配管確認をしなかったことに責任があるのでしょうか?

そもそも本件の取引は2年前の取引であり、当時の売主の「瑕疵担保責任(注)」の期間は特約で「6か月」とされており、買主からの責任追及はできないのではないでしょうか。

(注) 本件は2年前の取引のため、改正前民法の570条(売主の瑕疵担保責任)が適用されますので、以下「瑕疵担保責任」と表記します。


解決のための知恵

回答:

結論から申し上げれば、媒介業者としての調査説明義務違反がなく、あとは売主の「瑕疵担保責任」の問題として当事者間で解決することになります。

なぜならば、このような取引物件のいわゆる「隠れた瑕疵」に対する媒介業者の調査説明義務については、本件のようなビルの解体を条件とした土地売買を媒介した媒介業者に、地中にある瑕疵の存在について責任が発生するとは一般的には考えられないからです。


売主には過失による損害賠償責任が発生する可能性が 後段の売主の「瑕疵担保責任」に関するご質問については、売主がその地中埋設管の存在について、買主に対して事前にどこまでの説明をしていたかということが問題になりますが、ご質問の内容からすると、売主自身はほとんど説明をしていなかったのではないかと思われます。

その場合、売主はその地中埋設管の存在について知りながら、買主にその旨の告知をしなかったということも考えられますが、もしそうであれば、当事者が特約した「6か月」という瑕疵担保責任の期間の定めは無効となり、売主は買主に対する責任を免れないということになります(旧民法572条)。

また、売主には「建物を解体する」という地下埋設管の存在を容易に確認し得る立場にあったわけですから、少なくとも「過失」による損害賠償責任は免れないと思います(民法415条、709条)。

もっとも本件の場合は法人間の売買のため、瑕疵担保責任の期間も商法の規定によって「6か月」とされます(商法526条②)

その期間内に買主が売主から引き渡された土地の検査をしなかった、あるいはその検査の結果を売主に通知しなかったということであれば、売主は、買主に対する損害賠償責任を免れるということになります(商法526条①②、最判昭和47年1月25日)


判断基準

この場合の判断基準は 2点です。

「地下埋設管の存在について売主が買主に対し事前に説明していたのか」
「買主がその引き渡された土地をどこまで検査したのか」
が重要なポイントになります。

話し合いの中で言った言わないの水掛け論にならないよう、チェック書類を用意して、お互いに説明事項に漏れのないようにチェックをつけながら話を進めていきましょう。



著者

Z