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住まいは新生活様式のインキュベーター ~その1~

2021.4.26|業界の知識を深める

  • 新たな日常
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ポストコロナの住まい方

感染症にはエンデミック、エピデミック、パンデミックという三つの段階があります。エンデミックは予測可能ですが、エピデミックは予測困難で、エピデミックの規模が大きくなった状況をアウトブレイクと呼び、エピデミックが世界的に複数の地域で発生することをパンデミックと呼びます。今回のCOVID-19はまさしくパンデミックですが、幸いにして突然変異によるウィルスの凶暴化は起きませんでした。しかし、この経験は経済的にも文化的にも大きな影響があり、現在もCOVID-19は進行中ですが収束後には大きなライフスタイルの変更を迫られると考えられます。こうした時代に、住宅のスタイルも今までの「食う寝るところ」から「生きるための場所」への意識改革が求められます。ポストコロナの住まい方を事例を中心にご紹介します。(建築家・中村義平二)


コートハウス

一般的な住宅は道路に向かって玄関やガレージが配置され、南向きの敷地であれば居間やリビングなどのパブリックスペースが南面して並ぶようなレイアウトです。コートハウス(図1)は敷地境界線に向かって建築可能な限界位置に外壁を、ぐるりと敷地にいっぱいに建築し、建ぺい率をクリアするために中庭(コート)を設けるレイアウトです。

非常に囲われ感が強く、周りの騒音や視界に妨げられない生活空間が得られる一方で、周囲の街並みを拒絶するような外観になりがちです。極端な言い方をすれば、浄水場か刑務所のような印象を待たれてしまいます。道路側は、敷地いっぱいまで詰めないで植栽や開口部、適度な「引き」を設けるなど、街並みへの適切な配慮が必要です。

道路からのアプローチは路地状になっています。ここに建物外壁側を利用して、手洗い場や、リネン収納、消毒液などの置き場を設けます。また、ペットがいる場合には、下部に犬の足洗い場などを設けます。

そして、このゾーンはランニング用品や自転車、傘や雨具の収納にも適した場所です。

路地を進んだ正面には玄関があり、玄関と土間続きでエントランス用のクローゼットが配置されています。ここにはコートや上着、マフラー、手袋などのクローゼットを設け、内部はUV殺菌灯で一次的な殺菌滅菌が行われます。

玄関アプローチの左側にはまさしく「コート」が設けられており、屋外キャンピングやピクニック、屋外ヨガなどが楽しめます。可動式のテント屋根を設置すれば、強い日差しや多少の雨を避けることができます。

離れのような位置付けの道路側スペースは、SOHO的に活用するスペースで、リモートワークなどに最適なスペースです。また、このスペースと母屋は広い廊下的なホールでつながっており、ここに集中収納庫を設けることで、各個室の収納負担率を下げることができます。