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ニーズに応えて広がる 不動産テックの活用

2021.9.8|業界の知識を深める

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新型コロナウイルス感染症の予防対策として、非対面・非接触のニーズは高い。これに対応するため不動産業界においても、ITなどのテクノロジーを駆使する「不動産テック」や「不動産DX(デジタルトランスフォーメーション)」の導入が進められている。非対面を可能にするこうした技術の活用は、接客などの商取引だけでなく従事者の働き方改革にも及び、業務の効率化や時間・費用のコスト軽減にも寄与する。今回はその不動産テックの取り組みについて特集した。


これからの不動産業の姿

国土交通省では、昨年5月に「不動産業における新型コロナウイルス感染予防対策ガイドライン」を策定し、次のような対策事例を挙げた。

非対面による接客対応

非対面で内見できる写真や動画、VR(バーチャルリアリティー/仮想現実)の制作によるウェブサービスの充実、ウェブ会議システムやビデオ通話の活用などである。

具体的には、インターネット上の不動産情報や不動産ポータルサイトにある物件情報の詳細化だ。物件の雰囲気が容易に把握できるよう360度カメラで撮影し、そのVR映像をネットに掲載。また、VR映像をウェブやビデオ通話などを通してお客さんに視聴してもらい、バーチャルツアーとして利用する。

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VR内見のイメージ(提供/全国宅地建物取引業協会連合会)

これは、現地で行う内見件数の削減につながるだけでなく、遠隔地の顧客の移動時間や費用の負担軽減、日程調整の幅を広げられるといったメリットも生む。

さらに、スマートロックも有用である。物件を内見したい利用者にメールなどでデジタルキーを発行し、利用者が自らスマートフォンなどで物件のドアを解錠。事業者が同行せずに内見が可能となり、鍵の受け渡し作業も省け、管理会社の休業日や営業時間外でも対応できるので業務の効率化が図れる。

一方、賃貸取引や売買取引のオンラインによる重要事項説明(IT重説)についても、国交省では対面による重要事項の説明と同様に扱うとしている。なお、重要事項説明書などの電子化については社会実験が進められている。


~『テック』で変わるビジネススタイル~

オフィスや働き方の変化

様々な業界でテレワークが推奨される中、不動産業界でも従来のオフィス勤務型の働き方から、場所を問わない働き方へと変化している。

在宅によるテレワークが加速した一方で、自宅と事務所の間にサテライトオフィスを設置する動きも出てきた。サテライトオフィスは遠隔勤務用の施設だが、会社以外のオフィスが従業員の自宅近くにあると、職住近接の環境がつくり出され、通勤時間の削減にもつながる。

ある大手企業では、フレックスタイムの拡充や単身赴任の解消、人事制度の改定など大規模な働き方改革を推進。既存のオフィスについても大胆な集約を行い、本社などの事業所は個人のデスクを排して打ち合せのコミュニケーションスペースとし、オフィス面積の最適化を進めている。

また、テレワーク用の作業スペースを設けたシェアオフィスについては、公共の空間でも運用され始めている。

静岡県焼津市では、法人向けのテレワーク専用施設を焼津駅前に整備。個別ブースを6席、個室2室、カウンター4席、そして4人掛けの打ち合わせスペースを1室設け、換気システムや空気清浄機の設置、抗菌クロスの採用などコロナ対策を施した。

この施設の施工、企画、運営を行っているのは静岡鉄道で、コンセプトとして「駅前通勤」をうたう。焼津駅から市外に電車通勤する市民を主なターゲットとし、勤務地にとらわれない新しい働き方を提案している。