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新常態には柔軟性と更新性 ウィズコロナの構造・工法 ~その2~

2021.4.26|業界の知識を深める

  • 耐震基準
  • 住宅設備
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年々、強力になって行くとしか思えない、台風や竜巻、豪雨、炎暑ですが、それに加えて大規模地震の危機も増大しています。また、コロナや感染症への備え、リモートワークスペースの確保など、今までとは異なる仕様が住宅に求められます。特に感染症やウイルス対策については、日々新しい考え方やデバイスが提案され、目まぐるしく変化しています。今後はこうした変化を受け止めて、安全で暮らしやすい住まいの提供を市場から求められるます。(建築家・中村義平二)

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設備機器の更新性

通常の住宅設備機器は家電品などは6~10年、エアコンなどの大型家電は10~14年、キッチンやトイレなどの水周り機器は15~20年で何らかの問題が生じ、修理や交換が必要になります。

また、配管類については水周りやガス関連が20~30年で性能の低下や何らかのトラブルが発生します。20~30年となると大規模修繕や建て替えも視野に入ってきます。ニューノーマルへの対応として機器類の更新や位置変更が生じた場合、構造種別によって難易度が異なります。

8~12年スパンで見た場合、最も頻度の高いのがエアコンの更新です。特に、滅菌・減菌・フィルター機能を持った効率の良いエアコンへのリプレース及び増設需要は高いと考えられます。この場合リプレースであれば電源と配管類は既設のものがありますので、再利用できれば大きな問題はありませんが、冷媒配管が再利用できない場合は新たに敷設する必要があります。この場合でも配管直だしであれば問題ありませんが、外観を気にして隠蔽配管を行っている場合、隠蔽を諦め、直だしにするか工事が大掛かりになるのを前提に再度隠蔽にするの判断が必要です。

この場合は、内壁を剥がして工事することになりますので、その壁面の仕上げ材によってはコストもかかります。直だしの場合、コンクリート系は工事に少し手間がかかりますが、鉄骨系や木質系は、筋交いとの干渉にさえ留意すれば、大きな問題はありません。

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スケルトンインフィル。構造体(スケルトン)と設備(インフィル)を分離する考え方。

設備の更新性が高く、単なるリプレースではなく新しい設備の導入も容易だ


手洗いや換気で感染対策

現在のCOVID-19も数年で収束すると考えられますが、今後の感染症対策への住宅設備も必要になります。例えば、手洗いとうがいは帰宅した時には真っ先に行うとすると、位置的には玄関のドアノブに触る前に行えれば良いのですが、屋外設置になるため、現実的には玄関内や最近流行りのウォークイン玄関クローゼットに簡易な洗面台や手洗いを設けることが考えられます。設置には給排水と電気配線が必要です。電気配線は構造にかかわらず比較的容易に引き回せますが、給排水については新設になります。構造的にはコンクリート構造は手間がかかりますが他の工法は構造による難易度は違いません。ただ、玄関は住まいの顔に当たるスペースへの設置ですので、それなりの仕上がりが求められます。また、冬季を考えると給湯は必須ですので、小型の電気温水器の設置も考慮が必要です。

着衣や持ち物にも感染症の原因となるウイルスは付着します。フランスでは子供が学校から帰ると、すぐに制服を脱がせシャワーを浴びさせます。制服はそのまま洗濯機に投入して洗濯し、翌日は予備の制服を着させて登校させるそうですが、主婦の家事負担は大変です。ここまで神経質にならないまでも、ウイルスの漂う空気を入れ替えるために、室内の換気については十分考える必要があります。

換気は窓を開放して換気するのが普通ですが、冬季や炎暑の時期には現実的ではありません。そこで、機械式換気ですが、設置にはダクトの引き回しと電源の確保が必要です。電源の確保は比較的容易ですが、ダクトの引き回しは天井懐の少ないパネル系の構造では容易ではありません。この場合、コストはかさみますが集中排気ではなく、各個室で吸排気を完結させる必要があります。また、鉄筋コンクリートの場合、ダクト類の梁貫通は構造強度へ影響するため好ましくありません。美観上は問題ですが天井から一旦露出させ、壁貫通させるなど、梁貫通回避の工夫が必要です。

『住宅新報』2020年10月6日号「住生活月間特集」より)

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