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住宅各社の提案する〝新しい生活様式〟戸建て新商品 ~その3~

2021.6.23|業界の知識を深める

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感染防止とワークスペース対応に注力

新型コロナウイルス感染拡大を受けた初回の緊急事態宣言から、いまだ事態収束の目途が立たない中、1年3カ月が経過しようとしている。昨年以降、在宅勤務やオンライン授業などの常態化に伴い、自宅での過ごし方は大きく変化し、住宅の在り方が見直されてきた。住宅メーカー各社は、感染防止対策やリモートワーク対応を軸に、〝新しい生活様式〟に対応した商品の開発・供給に取り組み、抗ウイルス仕様の標準化や多様な状況に応じたワークスペースの拡充が進んだ。〝ウィズコロナ〟は、戸建住宅の新たなスタンダードが確立される契機ともなったようだ。(フリーライター 小山田湊)

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既存商品の技術応用も

個室とセミオープン 状況に応じ使い分け

昨年の緊急事態宣言以降、多くの住宅メーカーは、在宅勤務者を対象とした意識調査を実施し、ニーズに応じたテレワークスペースの提案に取り組んだ。

大和ハウス工業は、在宅勤務を経験した自社の社員への調査結果を基に、昨年6月、個室型の「快適ワークプレイス」とセミクローズ型の「つながりワークピット」の提案を開始した。「快適ワークプレイス」には、防音室を備えた既存商品「奏でる家」の技術を採用し、外の音や情報セキュリティを気にせず、仕事に集中できる空間の創出を図った。「つながりワークピット」は、リビングとつながり、ドアの開閉でオンとオフの切り替えを図るマルチスペースを採用することで、家族の気配を感じながら、仕事と家事・子育てを両立できる空間を目指している。

7月には、積水化学工業住宅カンパニーが新商品「レジリエンス100ステイ&ワークモデル」を発売。オープン・セミオープン・クローズの3種類のスペースを使い分ける「マルチテレワーク」を提案した。仕事の状況に加え、子どもが小さいうちは、目が届く範囲で仕事ができるオープンスペースを、ある程度成長したらクローズ空間を使うといった、子どもの成長による変化への対応も図った。

同月に新商品「プライムスマート」を発売したミサワホームは、生活音や家族の声といったオフィスと異なる刺激に着目。①不快な刺激を取り除く、②快適な刺激を取り入れる、③刺激を受け止めて調節する、という3つの視点から、集中したい時のテレワーク専用個室「ミニラボ」や家族共用のワークコーナー、子どもを見守りながら仕事をできる家族共用のワークコーナーやリビングに近いキッチン横のスペースなどを提案した。

同商品は、昨年度の受注目標300棟を年内に達成するなど、想定を大幅に上回る反響を得たという。同社は、12月に発売した企画タイプ商品「スマートブランドWS」で、より具体的に、①ミニラボ、ホームオフィスなどの個室で、仕事に集中して取り組む「フォーカス」、②カウンターなど、仕切られていないスペースで、家族とつながりながら働く「スイッチ」、③テラスやバルコニーなど、リラックスできる場所で頭を整理してひらめきを生む「リチャージ」の3カ所を提案する「ワークスタイルメソッド」を確立した。

11月に新商品「ワンフィット」を発売した旭化成ホームズも、家事や趣味スペースとしても利用できるセミオープンスペースと、ウェブ会議や集中すべき業務に適した個室の使い分けを提案している。


2カ所以上が定番 共働きや自宅学習

新築戸建て住宅では、2カ所以上の異なるタイプのワークスペースの提案が定番化しつつある。ウェブ会議など、情報セキュリティの安全性や音声環境の確保などが必要な場合や、見守りを含め仕事と家事や育児を並行する場合など状況に応じた使い分けに加え、複数人が在宅勤務や自宅学習に取り組むといった、共働き世帯ならではの状況も、複数のワークスペース提案につながっている。

三井ホームは昨年7月、10年にわたるロングセラー商品「シュシュチャーム」を共働き世帯向けに拡充した新モデル「シュシュクール」を発売。洗濯の負担軽減などを図る〝家事ラク動線〟のほか、個室タイプとキッチン脇のセミクローズタイプなど、共働き夫婦がそれぞれ目的に応じて利用できる複数のテレワークスペースを設けた。

ミサワホームも、共働き世帯における在宅勤務や子供のリモート授業といったニーズに着目。今年2月に発売した、賃貸住宅の新商品「ベルリード スキップハイ ツーワークラボ」では、大収納空間「蔵」やロフト収納を採用し、賃貸住宅に不足しがちな収納や備蓄スペースを確保すると共に、「蔵」上部のスキップフロアを活用するなど、2カ所のワークスペースを提案した。

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ミサワホームの木造2階建て賃貸住宅「ベルリード スキップハイ ツーワークラボ」の構造

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「ワークスタイルメソッド」を反映した同商品のワークスペースのイメージ

『住宅新報』2021年6月8日号「新しい生活様式特集」より)

その4へ続く