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住宅各社の提案する〝新しい生活様式〟戸建て新商品 ~その1~

2021.6.23|業界の知識を深める

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感染防止とワークスペース対応に注力

新型コロナウイルス感染拡大を受けた初回の緊急事態宣言から、いまだ事態収束の目途が立たない中、1年3カ月が経過しようとしている。昨年以降、在宅勤務やオンライン授業などの常態化に伴い、自宅での過ごし方は大きく変化し、住宅の在り方が見直されてきた。住宅メーカー各社は、感染防止対策やリモートワーク対応を軸に、〝新しい生活様式〟に対応した商品の開発・供給に取り組み、抗ウイルス仕様の標準化や多様な状況に応じたワークスペースの拡充が進んだ。〝ウィズコロナ〟は、戸建住宅の新たなスタンダードが確立される契機ともなったようだ。(フリーライター 小山田湊)


非接触型の住設や抗ウイルス内装に

この1年で、感染症予防の観点に即した製品の導入が進んだ。抗菌や抗ウイルスに有効と言われる成分を含んだ壁紙や床材、玄関タイルといった内装材のほか、配達員と対面することなく荷物を受け取れる宅配ボックス、キッチンや洗面所などのタッチレス水栓といった住宅設備は、戸建住宅でも基本仕様になりつつあるようだ。

住宅の細部に抗ウイルス・抗菌加工を導入するケースも増えた。アキュラホームは今年1月に発売した「地球と家計にやさしい家」で、経済産業省が新型コロナウイルスへの有効性を認め、多くの医療現場で導入されているウイルスシールドに着目した。インフルエンザウイルスの場合、10分間で99%の減少効果が見られたというものだ。同商品では、手に触れることの多いドアノブやスイッチ、取手、手すりなどに「ウイルスシールド加工」を施すことで、抗ウイルス仕様を標準化した。


深紫外線や光触媒 全館空調に導入も

中でも住宅メーカー各社が注力したのは、室内における〝空気の抗ウイルス対策〟だ。特に昨秋から冬にかけては、全館空調システムに抗ウイルス機能を持つ装置を組み込んで空気清浄機能を強化するなど、換気と抗ウイルス、温度調整のシナジーを生かした提案が相次いだ。

三菱地所ホームは昨年10月、空気清浄機能を搭載した全館空調システムに、深紫外線LEDを導入した医療機器メーカー・日機装の空間除菌消臭装置「エアロピュア」の機能を搭載した「新・エアロテック─UV」を発売した。同社独自の全館空調システム「エアロテック」に、空気清浄機能のあるユニットを組み込み、ユニット内部でウイルスなどを補そくするエキスパンド光触媒フィルターに深紫外線LEDから紫外線を照射し、ウイルスなどを除菌・消臭した空気を各部屋に行き渡らせた。従来製品と比べ長寿命である深紫外線LEDを採用することで、10年にわたり機器交換の必要をなくすなど、メンテナンス負担も軽減した。

同社は今年1月、深紫外線LEDと光触媒フィルター技術を搭載した「新・UVクリーンユニット」と全館空調「エアロテックFit」を木造戸建て賃貸住宅に搭載。キャンペーン商品として発売した。

昨年11月には大和ハウス工業が、抗ウイルス機能と空気清浄機能の〝ダブル提案〟を開始した。ウイルスや細菌などの有害物質を常時吸着するアパタイトと、光触媒作用を持つ二酸化チタンを組み合わせた「アパタイト被覆二酸化チタン」によるコーティング材を吹き付けることで、床や壁、天井、家具、カーテンなど室内全体の抗ウイルス化が可能な「吸着性光触媒コーティング」に、天井埋込形のオリジナル空気清浄装置「空気浄化ef(イーエフ)」を組み合わせた。

同装置には、医療施設の集中治療室やクリーンルームで採用されている「HEPAフィルター」を搭載しており、空気清浄・急速排気・イオン発生の〝トリプル浄化機能〟のほか、室内の臭いや温度を検知し、自動で換気回数を増やす機能も備えるなど、ウイルスや菌の繁殖の抑制する工夫を複合的に施している。

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大和ハウス工業は「吸着性光触媒コーティング」による抗ウイルス対応を提案

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同社オリジナルの天井埋込形空気清浄装置「空気浄化ef」の仕組み

12月には積水ハウスが、屋外に排気する熱を回収する熱交換型換気システムや天井付空気清浄機を組み合わせ、温度変化を抑えながら換気・空気清浄する室内環境システム「スマート イクス」を発売。給排気口の配置を工夫することで、リビングなどの生活空間から玄関や廊下などの非生活空間へと空気の流れをコントロールする工夫を施した。また、換気による熱損失を約80%抑制しつつ、LDKなどの生活空間への汚染物質の混入の抑制を図るなど、快適性や省エネ性を保ちつつ、商業施設基準以上の換気量を確保する仕組みを構築した。

更に同社は今年4月、住宅設計用CADに換気解析システムを連携することで、個々のプランにおける設計段階からの換気シミュレーション提供も開始した。

『住宅新報』2021年6月8日号「新しい生活様式特集」より)

その2へ続く